読んだ本の『50音別作家一覧』はこちらから>>

映画『グリーンブック』感想。

記事内に広告が含まれています。

『グリーンブック』は2018年のアメリカ映画。第91回アカデミー賞では作品賞・助演男優賞、受賞作。作品公開当時に話題になっていたのを覚えているけれど、今までなんとなく見たことがなかった。

黒人と白人の2人組の話…と言うと『最強のふたり』とか『ドライビング・MISS・デイジー』を思い浮かべてしまって「なるほど…価値観の違う凸凹コンビのロードムービーか」と予想。

だけど『グリーンブック』は私の予想とは大きく違っていて、予想以上にシビアな作品だった。

スポンサーリンク

グリーンブック

グリーンブック
Green Book
監督 ピーター・ファレリー
脚本 ニック・ヴァレロンガ
ブライアン・ヘインズ・カリー
ピーター・ファレリー
製作 ジム・バーク
ニック・ヴァレロンガ
ブライアン・ヘインズ・カリー
ピーター・ファレリー
クワミ・L・パーカー
チャールズ・B・ウェスラー(英語版)
製作総指揮 ジェフ・スコール
ジョナサン・キング
オクタヴィア・スペンサー
クワミ・L・パーカー
ジョン・スロス
スティーヴン・ファーネス
出演者 ヴィゴ・モーテンセン
マハーシャラ・アリ
リンダ・カーデリーニ
音楽 クリス・バワーズ
公開 カナダの旗 2018年9月11日 (TIFF)
アメリカ合衆国の旗 2018年11月16日
日本の旗 2019年3月1日

あらすじ

物語の舞台は1962年のアメリカ。主人公のトニー・“リップ”・ヴァレロンガ(イタリア系アメリカ人)はニューヨークのナイトクラブで働いていたがナイトクラブが改装工事のため閉鎖されてしまう。

トニーが新しい仕事を探している矢先に、アメリカ中西部、ディープサウスを回る8週間のコンサートツアーの運転手を探しているアフリカ系アメリカ人のクラシック系ピアニスト、ドン・シャーリーとの面接を紹介される。

ドンは、トニーの肉体的な強さや、物怖じしない性格を見込んで彼を雇うことにした。トニーは妻と子ども2人の所帯持ち。親戚も多くクリスマス・イブまでに自宅に帰るという約束のもと、ツアーに出発する。

ドンのレコードレーベルの担当者は、アフリカ系アメリカ人の旅行者がモーテル、レストラン、給油所を見つけるためのガイドである「グリーンブック」をトニーに託し、トニーとドンの旅がはじまる。

アメリカの黒人差別

作品の題名にもなっている『グリーンブック』とは、黒人ドライバーがアメリカ国内を旅する時に、給油所やレストラン、ホテルなどを見つけるたのめガイドブック。

アメリカでは南北戦争以降、奴隷はいないことにっなているけれど『グリーンブック』の舞台になっている1962年でも、ここまで酷い差別があったとは知らなかった。

有吉佐和子は『非色』の中でアメリカの黒人男性と結婚した戦争花嫁を描いている。主人公の笑子の夫は南部出身で「故郷に帰らないの?」と聞く妻に「南部は酷いところだ。出来ることなら家族をニューヨークに呼び寄せたい」と言っていたけれど、アメリカ国内でも、地域によって黒人差別の意識が全く違うらしい。

『グリーンブック』では、比較的人種差別が穏やかな北部から、人種差別の厳しい南部へ旅する黒人ピアニストとイタリア系ドライバーの友情が描かれている。

ちなみに白人といってもイタリア系の人達は白人社会では低く見られているらしい。

黒人、プエルトリコ系、イタリア系、ユダヤ系の人達は「差別されて当たり前」みたいな価値観を持っている人が多かった時代の作品。

底抜けに明るいイタリア人

ダラダラとアメリカの黒人差別について書かせてもらってものの、ダブル主人公の1人、イタリア系アメリカ人のトニーも黒人を「ニグロ」と呼び、黒人の触ったコップをゴミ箱に捨てるような男。

トニーは「黒人は差別するのが当たり前」と言う考え方の持ち主でドンのドライバーの仕事を引き受けたのは、お金が欲しかったからに過ぎず、教養もない小悪党なのだけど、底抜けに明るい性格で何故か憎めない人物として描かれている。

もっともトニーは小悪党だけど、家族を愛する優しい男でもあり、根っこはイイ奴なのか、ドンと共に旅をする中でドンのことを尊敬するようになり、そして黒人に対する意識も変わっていく。

ピアノは上手いが少々難アリの男

一方、ピアニストのドンは教養も才能もあり、黒人ながらもトニーよりもずっと育ちの良い男しとして描かれている。ドンの育ちの良さについては「ケンタッキーフライドチキンを食べたことない」と言うエピソードがあるほど。

なおドンが生まれて初めてケンタッキーフライドチキンを食べる場面は覚悟して観て戴きたい。映画を観たあと、ケンタッキーフライドチキンを食べたくなってしまうから。

教養にも才能にも恵まれているドンだけど、完璧な人間かと言うとそうでもなくて、トニーと旅することでトニーから多くを学び、自らの殻を破って人間らしさを取り戻していく。

ネタバレを避けたいのであえて伏せておくけれど、ドンは作品後半まで「ある秘密」を抱えている。もう生き辛いの極み…みたいな人なのだけど、トニーはドンの全てを理解した上で友情を育んでいく。

賛否両論だったみたい

私は日本人としての視点で観たので「人種を越えた友情…尊い…」と単純に感動したのだけど、アメリカで公開された時は絶賛された訳ではなかったようで、アメリカでは批判的な評価も多かったらしい。

私は『グリーンブック』を観て「黒人差別酷いな」と思ったけれど「あんなの生ぬるい。実際はもっと酷かった」って意見もある。

それでも私は相手を理解をしようとしなかった2人が互いを理解し友情を育んでいく物語に感動した。

そして付け加えておく『グリーンブック』は実際にあった出来事に基づく物語で、ドンとトニーはの交友関係は死ぬまで続いたそうだ。

……友情は尊い。そこに尽きる。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
映画
スポンサーリンク
白い木蓮の花の下で