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ママ 神津凛子 講談社

題名だけ見て予備知識ゼロで借りてみた。なんとなく昨今流行りの毒親を描く系の話かと思っていたら、予想とは全然違っていた。

どうやらイヤミス(読後、嫌な気持ちになるミステリ小説)のくくりに入るようなのだけど、残念ながら好みではなかった。

「イヤミス」を超えた、世にもおぞましい「オゾミス」なんて言う煽り文句がついていたけど、そこまでおぞましくもなかった気がする。売り方が下手くそ過ぎ。

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ママ

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講談社
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ザックリとこんな内容
  • シングルマザーの成美が目を覚ますと、手足は縛られ見知らぬ部屋にいた……ってところから物語がスタート。
  • 成美は未婚のまま娘の「ひかり」を産み、手一つで育ててきた。
  • 娘を保育園に預け、スーパーで総菜作りを続ける毎日ではあったが、ささやかながらも幸せを感じていきていたのだが……

感想

ミステリ作品としては全く心に響かなかったのだけど、前半部分はかなり面白かった。

主人公の成美が惣菜を作る工場で働いているターンは、桐野夏生の『OUT』で描写された弁当工場を彷彿とさせるリアリティがあった。

女同士のイザコザがあったり、そんな中でも支え合える友のような存在が見つかったり。私自身は中年になってからガッツリと女性ばかりいる職場で働いたことがないのだげと「分かるわぁ~」と共感する部分が多かった。

そして色々な人間を描きつつ「それでも人間は自分(もしくは自分と自分の家族)が1番可愛いよね」みたいな感じに描かれていたのも良かったと思う。

神津凛子の作品を読むのは初めてだけど、人間観察力があるところは強みだと思う。なんとなく垣谷美雨の作風とも重なったりして。

ただ残念なとこに肝心のミステリー部分がちっとも面白くなかった。

犯人の動機があまりにも稚拙で説得力がない。

「イヤミス」「オゾミス」と名乗るだけあって、残酷と言うか気持ち悪い描写はあるものの、なんて言うのかな…そういうのって意外と怖くないのだ。どんなに残酷な描写でも、ホラーでも無い限り、すでに書きつくされている感じで、珍しくもなんともない。

犯人登場までの日常生活ターンが面白かっただけに、犯人が登場してからのツマラナサはどうにもやるせなかった。犯人がクレイジーな思考の持ち主だってことは理解出来るけれど、それだけで押切るのは難しい気がする。

いくら創作の世界だといっても、ホラーやファンタジーでないのなら「もしかしたら、こういうこともあるかも知れない」と思わせるだけのリアリティは必要だと思うのだけど『ママ』の後半からの流れは「ないわぁ~。それはないわぁ~」としか思えなかった。

前半部分が面白かっただけに、後半部の唐突さと面白くなさは残念過ぎだった。気が向いたら神津凛子の他の作品を読んでみたいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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