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花宵道中 宮木あや子 新潮社

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『花宵道中』は江戸時代、吉原を舞台にした短編連作方式の恋愛小説。第5回R‐18文学賞大賞受賞とのこと。

R‐18文学賞とは女性が選ぶ女性のための官能小説に与えられる賞とのこと。そんな訳で大雑把に分類すると官能小説に入るのかも知れないけれど、その方面はむしろアッサリと控えめな印象だった。

じゃぁ、精神的な部分をガッツリと描いているかと言われると、そうでも無かった。

何かにつけてアッサリ風味。吉原を舞台にした作品は、何かにつけて「濃い」ので、そう言う意味では特殊な作品だと思う。

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花宵道中

どんな男に抱かれても、心が疼いたことはない。誰かに惚れる弱さなど、とっくに捨てた筈だった。あの日、あんたに逢うまでは――

初めて愛した男の前で客に抱かれる朝霧、思い人を胸に初見世の夜を過ごす茜、弟へ禁忌の恋心を秘める霧里、美貌を持てあまし姉女郎に欲情する緑……儚

く残酷な宿命の中で、自分の道に花咲かせ散っていった遊女たち。江戸末期の新吉原を舞台に綴られる、官能純愛絵巻。

アマゾンより引用

感想

巷の評判(女性に限る)はかなり良かったようだけど、私はイマイチ物足りなく感じた。

作品の世界観とか、作者の恋愛観は理解できなくは無い。吉原で働いていたからといって、誰もがみな濃厚に生きていた訳ではないはずなのだ。

ひとことで「恋」と言っても、一直線のそれではなく、微妙なバランスで成り立っていた恋だってあったはずなのだ。

この作品に出てくる恋愛は、吉原を舞台にした恋愛と言うよりも、むしろ現代生きる女性のそれに近い気がした。

「等身大の恋」が好きになれる人は面白いかも知れないけれど、私はアッサリしていて物足りなかった。

「吉原を舞台にした恋愛小説」と聞くと、読む前からドロドロしたものを期待してしまうからかも知れない。

なんと言うのかなぁ……。私はそういう境遇に立ったことが無いので偉そうなことは言えないのだけど、女性が「性を売る」って仕事につくって、大変なことだと思うのだ。

そんな中で恋をしたり、人生に希望をもったり、あるいは諦めたりするのって、あんなにアッサリしたものじゃないような気がした。

読後、靴の上から足を掻くようなもどかしさが残った作品だった。

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