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ヴィオレッタの尖骨 宮木あや子 河出書房新社

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宮木あや子の作品はなんだかんだでそこそこ読んでいて(感想を書いていない作品もある)今さら言うのもなんだけど、私は宮木あや子の描く作品とは相性悪いのかも知れないな…と思った。

作品の雰囲気自体は嫌いじゃない…と言うか、むしろ大好物の部類なのだけど、どの作品を読んでも心の奥に届かないと言うか、この作品もイマイチ楽しめなかった。

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ヴィオレッタの尖骨

あとどのくらい私たちはこうやって肌を合わせられるのですか。

世間から隔絶された場所で生かされている美しい少女たち。快楽に溺れながらも、真実の情愛を求める彼女たちに救いはあるのか?儚くも美しい恋愛小説集。

アマゾンより引用

感想

まず見て戴きたいのは耽美な表紙!

表紙だけでもご飯3杯は食べられます…くらい好きな雰囲気。本の題名も耽美で素敵。

大腿骨でも恥骨でもなく尖骨を持ってくるあたりが分かっていらっしゃる。

この作品は表題作を含む4つの作品が収録された短編集なのだけど、表題作はとある私立高校が舞台の物語で声楽専攻の少女とバイオリン選考の専攻の物語だった。

その他の3作品もレズビアンな雰囲気ただよう女子高生主人公の耽美小説。ただ…雰囲気小説と言うか、ラノベ過ぎてついていけない感じだった。

作者の作品を語るにはこの言葉に尽きると思う。

「ラノベにしては大人向きだし、大人が読むにしては物足りない」雰囲気小説の枠を出ないもったいない感たるや!

そこまで雰囲気に徹するところが作者の個性であり、魅力なのかも知れないけれど、登場人物達の内面に入り切りていない気がする。

そして物語自体ビックリするものでも、面白いものでもなく「どこかで読んだことがあるような感じ」の作品ばかりなのだ。

同性愛を描いても、娼婦を描いても行き着くところは「アンニュイな感じ」でしかなくて、彼女たちの愛や哀しみが伝わってこないのが残念でならない。

どこか醒めていて入り込めないとでも言えばいいのかな。

雰囲気小説を否定するつもりはないけれど、雰囲気だけで持っていくならある程度の長さは必要だと思う。

特に作者の場合は短いというところもさることながら「閉塞した空間」「思春期の少女達だけの世界」「少女漫画的舞台装置」に終始しているため、ワンパターンで飽きがくる。

毎回「宮木あや子の世界観は私の好きな方向性だからもう少し読んでみよう」と思って、次の作品に手を出してしまうのだけど、いい加減打ち止めにしようと思う。

いくら方向性が好きでも楽しめなければ意味がない。今回の読書は見切りをつけるための良いキッカケになった。

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白い木蓮の花の下で
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