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もしも刑務所に入ったら 河合幹雄 ワニブックス

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私は基本的に小説をメインに読んでいるけど、実は『もしも刑務所に入ったら』なんて下衆い本も結構好きだ。

下衆い系の本は読んでも感想を書かない事が多いのだけど、あまりにも面白かったので感想など。

刑務所って本やテレビでしか知らないので、単純に面白かった。

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もしも刑務所に入ったら

ザックリとこんな内容
  • 法務省刑事施設視察委員会委員長等を歴任した刑務所のプロ
  • 刑務所での生活や出所後のこと、刑務官の仕事などを徹底解説
  • バーチャル刑務所体験が楽しめる

感想

題名から想像出来ると思うのだけど、非常に読みやすい文章なのでサクサク読めた。

序章のタイトルからしてイカしてる。『刑務所にはなかなか入れてもらえない』ってところからスタートするのだ。

私は子どもの頃「悪いことしたら捕まって刑務所に入れられる」と思っていたけど、刑務所に入るには「ものすごく悪いことをする」か「ちよっとした悪いことを何回もする」かしないと入れないらしい。

そして何より驚いたのは新受刑者の最終学歴の半数近くが「中卒以下」ってこと。

それこそ『おしん』の時代なら「学校に生かせてもらえない貧しい子ども」は珍しくなかったと思うのだけど、現代社会で中卒以下ってちょっとめずらしいと思う。私の親世代(70代)の頃でも、中卒は珍しかったと聞いている。

犯罪を犯してしまう人って、なるべくしてそうなったのだな…と思うと、ちょっと可哀想に思ったしまった。(もちろん、だからって犯罪者を擁護するつもりはない)

刑務所内での生活や刑務所のルール等は意外と知っている事が多かった。小説やテレビで表現されている「刑務所の生活」って、意外とリアルだったのだと感心させられた。

知らなかったのは受刑者の暮らしよりも、刑務官の仕事。想像以上に大変な仕事だと感心した。残念だったのは「刑務官はどうして刑務官になろうと思ったのか?」みたいなエピソードが1つもなかったってこと。刑務官のリアルなイメージが見えてこない気がした。

ただ、現役、あるいは退職した刑務官からリアルな話を聞くのは秘密保持の観点からして無理なのだろうな…ってことは理解しているので、あれが精一杯だったのかも。

そして私が1番感心したのは「お正月は受刑者達にとって辛い時間」だってエピソード。

お正月には特別料金が振る舞われるので、食べることに関してだけ言うと受刑者達の楽しみになっているそうだけど、作業が休みになってしまうので暇過ぎて時間を持て余してしまうとのこと。

だけど「暇過ぎて辛い」て分かる気がする。

私、CADオペレーターとして働いていた時、あまりにも仕事が暇すぎて1年で辞めたことがある。正社員としての採用で仕事は楽ちんだったけれど、暇な時間が耐えられなかったのだ。

これから先の人生でこの本から得た知識を役立てることはないと思うのだれけど、下衆い好奇心を満たしてくれる、なかなか面白い1冊だった。

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