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選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子 河合香織 文藝春秋

私はどちらかと言うノンフィクションよりも小説の方が好きなのだけど『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』はノンフィクション作品。

作者の河合香織は以前『セックスボランティア』と言う作品を読んでいるのだけれど、今回も厳しいテーマで驚かされた。

私は現在、パート事務員として放課後デイサービスで働いているので障害を持った子どもに関することについて機会があれば勉強していきたいと思っていて、その一環として読んでみた。

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選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子

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文藝春秋
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ザックリとこんな内容
  • 出生前診断の誤診でダウン症の子どもを産んだ女性が医師と病院を提訴した裁判について描いたルポルタージュ。
  • 現在の母体保護法では、障害を理由にした中絶は認められていない。法律の壁や倫理的な問題、家族の心情等、様々な人達からの話が登場。
  • 裁判の東氏者だけでなく、障害児を育てている家族やダウン症でありながら大学に進学した女性等、多くの人の話がまとめられている。

感想

「お腹の子どもに障害があると分かたら産むか、それとも中絶するか」と聞かれて即答出来る人っているんだろうか? 私にはとても即答出来ない。

「お腹の子どもに障害があると分かっても生みます」と言うが理想だと思うのだけど、即答出来ないのが現実だと思う。

ダウン症と言うとマスコミでは才能があって活躍している人が取り上げられがちでだけど、テレビなどに出てくる人達はレアケースだと思う。「ダウン症の子は天使のようで…」みたいな話もあるけれど、それもダウン症の一部でしかなくて、天使のような子ばかりではない。

『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』に登場する、医師の誤診から生まれたダウン症の子どもは三ヶ月間苦しみ抜いて生を終えた。

  • 誤診がなければ産まなかったかも知れない
  • 苦しむためだけに生まれてきた我が子に対して医師の謝罪が欲しい

誤診からダウン症を産んだ女性とその家族は複雑な思いを抱えて医師を提訴する。

私がこの作品を読んで1番驚いたのは、現在の母体保護法では「障害を理由にした中絶は認められていない」ってこと。

出生前診断を受ける人が増えているので、てっきり「お腹の子に障害があると分かっている場合は中絶してもいいんだ」と思っていたのだけど、法律的な観点から「経済的に育てられないから」と言った別の理由で中絶する形なるらしい。

医療の進歩に法律が追いついていないのだ。

作者の河合香織は出生前診断の誤診で医師を提訴した裁判を知った時「すでにこの世に生まれた子どもを出産するか中絶するか自己決定する権利を奪われたと訴えるとは、どんな母親だろうか」と思ったらしい。

実際、裁判に踏み切った女性は「障害者団体を敵に回すのか」と言われたり「金目当てだろう」とか「酷い母親だ」と冷たい目にさらされいる。

私も詳しい事情を知らなければ、そんな風に思っただろうけれど実情を知っていると「そりゃあ、納得いかずに裁判するのも無理はないよね」と言う気持ちになった。

主題となる訴訟を軸にる障害に関連した出産や 妊娠をめぐるトラブルも取り上げた丁寧な取材が素晴らしかった。

そして、それ以上に好感を持ったのは作者自身は誰も責めておらず、淡々と事実を綴っていると言うところに尽きる。

作品の中で出生前診断や中絶についての問題に対する結論は出ておらず、あくまでも「問題提起」として位置づけになるのだけど、投げっぱなしたのではなく「答えが出させないから」だと納得が出来た。

それにしても河合香織…凄いわ。よくぞこんな難しいテーマをしっかりまとめて書いたものだ。セックスボランティア』にも度肝を抜かれたけど『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』も半端ないって。

レベルの高いルポルタージュ本だと思った。

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白い木蓮の花の下で
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