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国語教師 ユーディト・W・タシュラー 集英社

私は本が好きだけど普段は日本の小説ばかり読んでいる。若い頃は翻訳物も読んだけど、正直言って翻訳物はちょっと苦手だ。

翻訳作品を読む場合、歴史的背景や宗教観、その国の人達なら「当たり前」として知っている教養などを知らずに読むと、作品の良さを理解できない事が多いので、読むのにとても時間が掛かってしまう。

なんとなく翻訳物は避けてと通っていたけれど、本好きの友人が「面白かった」と言っていたので「彼女が言うなら間違いないだろう」と思って読んだのだけど、確かにこれは面白かった。

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国語教師

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集英社
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ザックリとこんな内容
  • 16年ぶりに偶然再会した、元恋人同士の男女の物語。
  • 女性は国語教師。男性は小説家。2人はかつて、物語を創作して披露しあっていた。
  • 再会した2人は物語を創作して披露し合う。
  • 作家のクサヴァーは、自らの祖父をモデルにした一代記を。
  • 国語教師のマティルダは、若い男を軟禁する女の話を語っていく。

感想

……面白かったのだけど、感想を書くのがとてつもなく難しい。

これから読む人のことを思うと、ネタバレは絶対に避けたいのだけど、ネタバレしないで面白さを伝えるのは至難の業。だけど今回はネタバレ抜きでいきたい。

主人公は元恋人だった男と女。国語教師と小説家のカップルで、自分の作った作品をお互いに披露したりする。私は国語教師のマティルダに肩入れして読んでしまった。

マティルダは真面目で誠実な性格。恋人と別れた後も国語教師と言う仕事を愛し、誠実に行きてきた。

一方、小説家のクサヴァーは自己中心的なタイプ。一般的に小説家って「才能はあるけど人としてクズ」みたいな描かれ方をする事が多いので、それについては珍しくはない。

『国語教師』は過去と現在。創作と現実が入り乱れた状態でも物語が進んでいく。

  • 元恋人達の現在
  • 付き合っていた時の思い出
  • メールでのやりとり
  • 2人がそれぞれ創作した物語

話があちこちに飛ぶのたけれど、しっかりまとまっているのは凄いと思った。構成がしっかりしていなければ、訳が分からなくなると思う。

ミステリ作品…と言うことで、物語の本筋に「ある事件」が絡んでくるのだけど、読者は途中で「それって、こういう事ですよね?」と言う答えを導き出すことになると思う。ミステリ音痴の私でさえ「あ~。なるほどなるほど」と、途中で解決の緒を導き出していた。

……が。全然違っていたのだ。

「その発想はなかったし、そもそもそんな設定だったの?」とビックリするような形で、物語をひっくり返してきたのだ。ただ、無理やり感はなくて、よく読めば「なるほど…」な感じではある。

どうして、ミスリードさせられてしまったのか?

それはこの作品の構成力にあると思う。自分では気が付かないうちに、作者が誘導するがまま考が固まってしまったのだ。このビックリは是非、体験して戴きたいのでここでは詳しく語らない。

ミステリとしても面白かったけれど、主人公のマティルダが好きになってしまうほど人物描写も素敵だった。クサヴァーについても語りたいけれど、クサヴァーを語ろうとするとネタバレが必須なので伏せておこうと思う。

翻訳小説は苦手な私でも夢中になって読んでしまう面白さだった。読んで良かったと思うし、作者ユーディト・W・タシュラーの名前は覚えておきたい。

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白い木蓮の花の下で
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