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花伽藍 中山可穂 新潮社

「感想を書いて欲しい」とのリクエストを戴いたので数年ぶりに再読してみた。

『花伽藍』は5つの短編が収録された短編集。実は表題作と『燦雨』以外の作品については、内容をすっかり忘れていたので新鮮な気持ちで読むことが出来た。

それぞれに日本的な小道具が生かされた美しい短編集だと思う。

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花伽藍

夏祭りの夜の出会いから別れまでの濃密な恋の顛末を描いた「鶴」、失恋したばかりの一夜の出来事「七夕」、離婚した夫が転がり込んできたことから始まる再生の物語「花伽藍」、恋人とともに飼い猫にまで去られてしまった「偽アマント」、未来への祈りを託した「燦雨」。結婚という制度から除外された恋愛の自由と歓び、それにともなう孤独を鮮烈に描いた、彩り豊かな短篇集。

アマゾンより引用

感想

表題作と『燦雨』を覚えていたのは、読んだ当時にとても気に入ったから。

しかし表題作は、今になって読むと「どうして良いと思ったのだろう?」と首を傾げてしまった。

描写の美しさや、それまでの作品(描かれた当時の)には無かった生活感があったのは良かったけれど、肝心の内容はそれほどでもないように思った。

ひと言で言うなら「傷ついた女が都合良く傷を癒される話」という感じで、巷に溢れる「スイーツな小説」と大差無いように思う。

『燦雨』は改めて読んだ今もなお好きな作品だ。

中山可穂の描く恋人達はぶっちぎりで恋愛に突き進んでいくエキセントリックな女達が多いのだけど「この恋が終わったら、また次の恋を見つけるんだろうなぁ」と言うような印象を受けることがある。

しかし『燦雨』に描かれた恋人達は「不倫、略奪」という、人としてはいかがなものだろう…という顛末で結ばれたけれど、最終的に添い遂げていたところが良かった。

「一生1人の人と暮らす」というのは結婚制度に乗っかっていれば、それなりにある話だけれど、結婚制度を利用出来ない同性愛カップルにとって、なかなか難しいことと聞く。

それだけに、老々介護を経て添い遂げた2人には心から拍手を贈りたい。

ネタばれになるので書かないけれど、私もああいう最後が理想だ。ロマンティックと言うか…まぁ、現実には起こり得ない事なのだけど。

そして今回、再読してみて面白かったのは、主人公であるレズビアンの女性とノンケ(最終的には身体を開いているのでバイセクシャル?)の人妻の恋を描いた『鶴』。

初めてこの作品を読んだ当時、私はは独身だったが、今は結婚して娘がいる身なので、とても興味深く読むことが出来た。

人妻は突然死で子供を亡くしている…という設定。主人公の片思いっぷりが切なくてたまらなかった。

はじめて読んだ時は、単純な悲恋だと思っていたけれど、今になって読むと主人公が恋した相手は主人公をちゃんと愛していなかったのだと言うことがよく分かる。

通じない恋…しかも悲劇的な結末。主人公が不憫に思えて仕方が無かった。

久しぶりに読んだけれど中山可穂の短編集の中ではレベルの高い部類に入ると思う。

もちろん好みの問題もあるので、何とも言い難いところだけれど。特に『燦雨』は何度も読み返したい作品。また、何かの折に読んでみたいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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