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感情教育 中山可穂 講談社文庫

初めてこの『感情教育』を読んだのは、もう何年も前のこと。久しぶりに再読してみた。

ここのところの中山可穂作品は肩透かしを喰らうことが多くて、正直なところ「私もこの作家さんから卒業する時期なのかも」なんて事を思ったりしていたのだけれど、改めて読んでみるとこの頃の作品は文句無しで面白い。

たぶん技術的なところなどは、最近の作品の方が上手くなっているのだろうけれど、この作品には心を揺さぶられる力強さと祈りのような物がギッシリと詰まっているように思う。

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感情教育

前世から契りあった恋人はあなたですか?今度こそ永遠に契りあうために、あなたはそこで待っていてくれたのですか?

那智と理緒。傷つくことにすら無器用な二人が出会ったとき、魂がふるえ、存在の根源をゆさぶる至高の恋が燃えあがる。

アマゾンより引用

感想

『感情教育』は恋愛小説なのだけど、恋愛という部分を逸脱した面白さがあると思う。

『感情教育』という題名通り、恋愛を通して変わってく人の姿が描かれていて、その過程は胸が痛くなるほどだ。

人間が、自分の価値観や考え方を大きく変える時というのは、何か特別な出来事に遭遇した時か、もしくは他人と深く係わった時だと思う。この作品は、まさに後者のパターンが細密に描かれているのだ。

この作品のヒロインである理緒と那智は複雑な生い立ちゆえに人と関係を結ぶのが不得手な女性である。

エキセントリックと言えばそうかも知れないし、たとえが良くないけれど今風に言うなら「メンヘラー」の域にいる人だと思う。

そんな彼女達が、それでも互いを求め合う姿は美しくもドラマチックだ。

再読してみて面白さを再確認したと同時に、どうしても納得いかない部分も出できてしまった。

私がこの作品を読んだのは独身時代の頃。そして、今はお腹に命を身籠っている。納得のいかない部分というのは、結果的として那智が娘を手放してしまっている事だ。

あれほど「親子愛」に固執していた那智が、精神的にボロボロだったからと言って、あんなに簡単に子供を手放せるものだろうか?

中山可穂の小説は、何故だか「人妻のレズビアンと独身のレズビアン」という組み合わせが多く『深爪』という作品でも、ヒロインは子供を手放している。

今後、中山可穂が「人妻のレズビアンと独身のレズビアン」という組み合わせで恋愛小説を書くのであれば、母親と子供の係わりについて、もう少し突っ込んでいく必要があるのではなかろうか。

作者自身が母親でないから書けない……とは思わない。

「経験=作品」であるのなら、大抵の小説は出来損ないということになってしまう。

自分とは違う価値観や立場の人と深く係わることによって得たもので、書いたりするのも作家の腕というものだろう。

久しぶりに読んでみて、面白いと思っただけに次の作品を期待せずにはいられない。また中山可穂の書いた文章に身もだえさせられたいなぁ……なんてことを思った。

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白い木蓮の花の下で
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