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渦 妹背山婦女庭訓 魂結び  大島真寿美 文藝春秋

お久しぶりの大島真寿美。ちょっとハマっていた時期があったのだけど、なんとなく遠ざかっていた。

『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』が直木賞候補になったと言うので、図書館で予約をしてみたところ、予約の順番が回ってきて本が手元に届いた日に直木賞の受賞が決まった。

無念…出来ることなら直木賞を受賞する前の真っ白な状態で読みたかった。

……などと後悔しても後の祭りなのだけど。

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渦 妹背山婦女庭訓 魂結び

ザックリとこんな内容
  • 舞台は江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。
  • 主人公は大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章(後の近松半二)。
  • 成章は学者として将来を期待されていたが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる、物書きの道へ進むことに。
  • 半二は弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書く事を辞められない…

感想

第161回直木賞は候補者が全員女性と言う激アツな展開だった。

今だから書くけれど、個人的には候補者の中でも「大島真寿美は無いだろうな…」と思ってたのでちょっとビックリした。

大島真寿美は作家歴も長いし作品数も多い。直木賞を「功労賞」として見るのであれば、妥当かな…と思っていたけど、功労賞なら柚木麻子もけっこうなものだ。

しかし、直木賞を予想していた時点では候補作を読んでいなかったので「もしかしたら候補作がキレッキレだったのかも知れない」と期待して読んだのだけど「えっ…あ。はい?」みたいな気持ちになってしまった。

『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』は浄瑠璃(文楽)作家が主人公の作品なのだけど、驚くことに浄瑠璃の良さがまったく伝わってこないのだ。

主人公は子どもの頃「父親に連れられて観た文楽に魂を奪われる」と言う設定なのだけど、その辺の描写は1ミリも出てこない。

主人公がどうしてそこまで人形浄瑠璃に突っこんでいったのか分からないまま物語がスタート。

「まぁ、読んでいるうちに分かるだろう」と思って読み進めていくも最後まで人形浄瑠璃の魅力は1ミリも伝わってこなかった。

私は舞台芸術が大好きで、文楽にも何度か足を運んでいる。だけど、この作品から文楽の熱さや情念は全く伝わってこなかった。

小説で特殊な世界を描く場合、その世界の熱を伝えることは必須だと思う。

絵なら絵の魅力を。音楽なら音楽の魅力を。舞台なら舞台の魅力を。

そこを無視して作品をぶっ飛ばしていくのって、ある意味凄い。ただしこの場合の凄いは褒め言葉ではない。

じゃあ「この作品は何が言いたかったのか?」って話なのだけど、大島真寿美は浄瑠璃作家が描きたかったのではなく、作家が書きたかった気がする。

作家として世に出る人達は「書かずにはいられない人」だと思うのだけど、作家の情熱とか、そういうところにスポットを当てて読むと、それなりに面白い。

ああ…それにしても。

最近の芥川賞、直木賞って「どうして、この作品なの?この人の最高傑作はコレジャナイ」みたいな感じなんだろう?

芥川賞を受賞した今村夏子も『むらさきのスカートの女』よりも『あひる』の方が断然良かった。

今回の『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』については、散々なことを書いているけれど、私は決して大島真寿美が嫌い…って訳じゃない。

大島真寿美の良さを生かし切れてない作品で直木賞…ってところが残念でならない…って話。

私はイマイチ好きになれなかったけれど、審査員の先生方からするとそうじゃなかったのだろうなぁ。文学の世界って私にはちょっと難しいみたいだ。

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