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ことり 小川洋子 朝日新聞出版

「これだよ、これ! 私が読みたかった小川洋子はこれ!」と叫びたくなるような作品だった。

久しぶりの長編小説。出版された事さえ知らなかったのだけど、2年も前に出た作品だった。

作品の前半は高機能自閉症っぽい兄と、これまたいささか発達障害気味の弟との生活が描かれていて、後半は兄が亡くなった後の弟の生活が描かれていた。

タイトルの通り作品のテーマは小鳥。相変わらず、小川洋子はこういうところが上手で困る。

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ことり

人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりを理解する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。

二人は支えあってひっそりと生きていく。

やがて兄は亡くなり、弟は「小鳥の小父さん」と人々に呼ばれて…。慎み深い兄弟の一生を描く、優しく切ない、著者の会心作

アマゾンより引用

感想

前半は兄と弟の心の交流。後半は兄との生活を思い出しつつ、弟が1人で生きていく様子が描かれている。

他の人の感想を読むと「兄と弟の温かい物語」的に捉えている人が多かったのだけど、私にはむしろホラー染みた世界に思えた。

自分達の世界に固執する姿とか、社会から弾き出されている様子とか、ゾクゾクするほど怖かった。

小川洋子が仕込んでくる毒はたまらんものがある。

特に後半は「これは酷い!」という展開だった。次から次へと押し寄せる不幸。

弟がほんのり心を寄せた女性は去っていくし、女児誘拐に係わっていたと他人から白い目で見られるし、あんなに愛していた小鳥からも引き離されるし「どこまで追い詰めるの?」と驚かされた。だが、それが良い。

小川洋子の良さは「冷静に考えてみたら物凄く不幸なんじゃないの?」って設定の人達をどこまでも美しく描くところにあると思う。

一見すると繊細そうに見える登場人物達は過酷な世界で意外としっかり生きている。人間って多かれ少なかれ、そういう部分があるんじないかな。

久しぶりに小川ワールドを堪能出来る良い作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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