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愛情漂流 辻仁成 竹書房

辻仁成と言うと昨今は「シングルファーザーで子育て頑張る人」として、twitter等で大人気。

ここ数作は親子愛や子どもをテーマにした作品が多かった。

でも本来は『冷静と情熱のあいだ』のような恋愛小説を描く作家さんだったんだなぁ。

久しぶりに辻仁成の恋愛小説を読ませてもらった。

今回はネタバレを含む感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

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愛情漂流

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あらすじ

子どもの幼稚園を通じて家族ぐるみのお付き合いをしている2組の夫婦をめぐるダブル不倫的な物語。(肉体的な不倫は1組。精神的不倫1組)

  • 芽依汰・理沙夫妻(芽依夫は理沙を愛していがほぼセックスレス状態)
  • 純志・早希夫妻(早希は純志に対して無関心)
  • 純志と理沙は不倫状態
  • 芽依汰夫と早希は精神的に繋がりがある状態

不倫カップルが上手くいくはずもなく、純志と理沙の不倫はパートナーの知るところとなる。

理沙は夫との離婚を望むが、芽依汰は離婚したくない。

早希は夫の裏切りを知ってから、夫に復讐したいと願うようになる。

気持ちがすれ違ってしまった2組の夫婦の行方は……

感想

一般論として。まず不倫はイケナイ。

普通なら「はいはい。不倫小説ですね」と言うところなのだけど、不倫されてしまった側はパートナーのことを、本当の意味で愛せていない状態。しかも「ソウルメイト」とか言い出す始末。

「不倫カップルは最悪だけど、不倫されてるカップルもどうなの?」って話だった。『愛情漂流』とは上手い題名だと思う。

残念ながら私自身は登場人物の誰の視点にも入ることが出来なかった。登場人物達にはそれぞれ言い分があるのだけれど、誰一人納得出来るような人がいなかった。

全員が被害者だと言えるし、全員が加害者だとも言える。

「愛し合えないなら離婚すればいいのでは?」としか思えなかったのだ。

これは私の自分勝手な推測なのだけど、芽依汰は辻仁成自身が投影されているのかな…と言う気がした。

芽依汰は辻仁成が息子との生活を自伝的に書いた作品と言われている『父 Mon Père』の父親と印象が少し重なるのだ。

芽依汰は不倫された夫であって、彼自身は妻を裏切っていない。しかも素晴らしい父親として描かれている。だけど妻にとって良い夫だったかと言うと残念ながらそうとは言えない。

「芽依汰=辻仁成」と言い切るつもりはないけれど、辻仁成の結婚生活も少なからず反映されているのかも知れない。

好き嫌いはさておき、それなりに興味深く読んだのだけど最後のエピソードは(オチ)はどうかと思った。

ハッキリ言って雑な〆方だと思う。

あのエピソードは無くても良かったのではなかろうか? せっかく4人の関係を綴ってきたのに、ラストでぶち壊してくるなんて。小説を都合よく動かためのパーツとしての「子ども」のエピソードは余分だったと思う。

個人的には全く好きになれないタイプの作品だったのだけど、辻仁成的には渾身の1作とのこと。

辻仁成の恋愛小説が好きな人は読んでおいて損はないと思う反面、辻仁成の最近の作風が好きな人はどんな風に受け止めるのかな……と気になってしまった。

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白い木蓮の花の下で
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