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冒険者たち ガンバと15ひきの仲間 斎藤惇夫 岩波少年文庫

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前の2冊が犯罪系の物語だったので「ちょっと心洗われるような物語に触れたい…」と置い、アマゾンオーディブルで『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』を聞いてみた。

このアマゾンオーディブルで『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』はなんと語りが野沢雅子なのだ。野沢雅子と言うと「ドラゴンボールの声の人」ってイメージが強いのだけど、一流の声優の語りは凄いな! 私もそこそこの数をAudibleで聞いたけれど、野沢雅子の朗読の上手さは群を抜いていると思う。

『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』はアマゾンオーディブルの中でも名作の部類に入ると思う。

今回は古い作品…ってことなのでネタバレありの感想になるため、ネタバレNGの方はご遠慮ください。

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冒険者たち ガンバと15ひきの仲間

ザックリとこんな内容
  • 町に住む町ネズミのガンバは幼馴染みのマンプクに誘われて海を見る旅に出る。
  • 2匹は港でネズミのパーティに参加し、夢見が島でイタチのノロイ一族に襲われてネズミ仲間たちが激減していることを知る。
  • ガンバは船乗りネズミのガクシャやヨイショ達を含む総勢16匹で夢見が島のネズミ達を助けるために夢見が島へ向かう。

感想

私はこの歳まで『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』を読んだことがなく、昭和アニメで観ていた世代。ちなみに『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』はミュージカルにもなったし、2015年に改めてアニメ映画として公開されている。

……思うに。『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』は子どもが純粋な物語として読むには、ちょっと感覚が古い気がする。野沢雅子の語りで耳から聞いたので楽しかったけれど「本」の形で読んでいたら、そこまで楽しめなかった気がする。岩波少年文庫から出ているものの、今の子ども達にどこまで通用するのだろうか?

ちょっと昔風の言葉遣いが難しいのもそうだし、アルコールや賭け事の設定、社会的な意味での価値観等が昭和過ぎる。私は昭和に子ども時代を過ごしているので特に違和感なく楽しめたのだけど令和のお子様には難しい気がした。

『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』の世界には基本的に男しかない。「冒険とは?」「男の友情とは?」みたいなノリが強くて、昔のヤクザ映画みたい。

ガンバと恋仲になる潮路と言うキャラクターも登場するのだけど、これがまたなんとも言い難い設定。

潮路は頭の回転が早く、自分の意見をしっかり言える女性として登場するのだけど物語の中では悲劇のヒロインポジションでしかなく最後は呆気なく殺されてしまう。そしてガンバは潮路の死を乗り越えて(?)仲間達と共に新たな冒険の旅に出る訳だけど、全体を通してみると潮路は物語の添え物でしかなかったよね…って感じ。

「冒険と男の友情」みたいな世界感はワクワクするけど、酒と泪と男と女…のような演歌っぽい世界感は今になって読むと微妙な感じではある。

……と書いてはみたものの『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』が素晴らしい児童文学であることは間違いない。「大人が面白いと思って本気で書いた本は面白いに決まってるだろ?」とばかりに、酒とギャンブルと暴力を子どもの読み物に突っ込んできたのは凄いと思う。実際当時の子ども達はワクワクして読んだのだろし、私も自分が子ども時代に読んでいたら今のような感想にはならなかったと思う。

大人が読んでも面白い作品とは言えないし「今の子ども達にも読んで欲しい」とも思おないけれど『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』は日本の児童文学にとって大切な作品だな…とは思う。

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