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ラブレス 桜木紫乃 新潮社

圧倒的に面白かった!

いまどきの「ゆるふわ」なスイーツ小説に飽き飽きしている人にお勧めしたい1冊。こういう作風の女性作家さんがいただなんて驚きだ。

小池昌代に次ぐマイブーム到来の予感。

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ラブレス

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謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた――。

彼女の生涯はまさに波乱万丈だった。道東の開拓村で極貧の家に育ち、中学卒業と同時に奉公に出されるが、やがては旅芸人一座に飛び込んだ。

一方、妹の里実は道東に残り、理容師の道を歩み始めた……。

流転する百合江と堅実な妹の60年に及ぶ絆を軸にして、姉妹の母や娘たちを含む女三世代の凄絶な人生を描いた圧倒的長編小説。

アマゾンより引用

感想

物語の始まりは昭和25年北海道。酒に溺れる父と強くなれない母の元で育った百合江は奉公先の薬屋を飛び出して旅芸人の一座に飛び込むのだけど、それと同時に流転の人生が始まっていく。

古くは林芙美子。最近だと瀬戸内寂聴あたりが書きそうな、女性作家ならではの古風な作りの物語だった。

ただ、この作品は既存の小説と決定的に違うところがある。

多くの作品の中で主人公は愛(恋愛)のために生き、愛に溺れていくのだけれど、百合江は決して『愛」に溺れている訳ではないのだ。

人生に流されたと言うか、何か不思議な「縁」に引きこまれたと言うか。なんとなく有吉佐和子の小説に出てくる主人公達に少し似ているように思う。

私は恋愛小説が好きだし「盲目の恋」には憧れるけれど、自分自身はそういうことの出来るタイプの人間ではないので「愛こそ人生のすべて!」と声高らかに謳っている作品を続けて読むと、お腹いっぱいになってしまう。

なので「愛」を全面に出さない波乱万丈の物語にグイグイと引きこまれてしまった。

実際のところ、世の中には「愛こそすべて」な人もいるだろうけれど、そうでない人だって多いはずなのだ。

「うっかり流されちゃう派」とか「情に弱い派」とか、そういう人もいるはずだし、むしろ「うっかり流されちゃう派」の人間こそ波乱万丈な人生を送りそうなものなのに、何故か小説の世界では「愛こそすべて」な人が活躍することが多い。

だからこそ、私はこの作品にリアリティを感じたし、登場人物に共感することが出来たのだと思う。人間の一生って「愛」だけでは語り尽くせないほど、色々な要素で出来ている。

ただ、この作品は「愛」を全面に押し出していなのに、最後に残るのは「愛」なのだ。そこがとても良い。

気持ちの良いハッピーエンド……という訳ではないのだけれど、読後はとても爽やかだった。

今までこの桜木紫乃の作品を読まなかったことが悔やまれる。名前は見知っていたのだけれど「あ~。なんか耽美っぽい名前だなぁ。どうせスイーツか、セックス賛美のエロ系作家さんでしょ?」と食わず嫌いしていたのだ。

私の馬鹿……。遅ればせながら、桜木紫乃人を追いかけていこうと心に決めた。

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白い木蓮の花の下で
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