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不随の家 広谷鏡子 集英社

及第点ではあるけれど、さほど面白いような作品ではなかった。

題名から予想できる通り、寝たきり老人が主人公なのだが、いまひとつリアリティと深みに欠けているような気がした。

老人(病人でもいいのだが)オムツなんて金輪際、替えたことのない人が文章だけで介護の現場を表現してみました……という印象。

作者の広谷鏡子が実際に、誰かの介護をしたことがあるかどうかは知らないが。

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不随の家

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たきりになり、娘に介護を受けている老女・ツタはある朝、自らの排泄物まみれになって目を覚ました――。

なし崩しに奪われる人間の尊厳。女としての苦しみと孤独。そして、死はツタに着実に忍び寄っていた……。

ある「秘密」をめぐって、愛憎に揺れる親子の絆を通し、現代日本のすべての家族にひそむ「不随」の病を見事に描き出した傑作。

アマゾンより引用

感想

老人の中途半端な一人語りという形式も、イマイチさを倍増させているような気がする。ところどころ違う人の視線が入っていたりするし、余分なエピソードも多い。

老人の視線で追いかけるなら、徹底的にそうすれば良いのだし、第三者の冷たい視線で書くならそれでも良いと思うのに、どちらつかずになっていたので、どちらの考えにも移入できないままで終わってしまった。

「なんだかんだ言って若い人は老人を嫌っている」なんて話は、老人の考えとしてみる……あるいは肉親を疎んじてしまう介護者の考えとして読むと納得できるが、第三者の視線となると、あまりにお粗末過ぎる。

それが合っているとか間違っているとかいう問題ではない。そういうことを書きたいのなら、他に書きようがあっただろうと思うのだ。

介護を舞台にしたり、またそこから話を発展させたりする類の小説には、比較的に名作が多いので、余計に生ぬるい印象を受けてしまったのかも知れない。

広谷鏡子のデビュー作だということだが、新人賞の作品ならもっと鮮烈なものの方がいいんじゃないかと、お節介なことを思ったりした。

似たような作品だったら、筆のこなれた人の方が断然面白い。そりゃぁデビューから、いきなり職人級の文章というなら、それもアリだろうけど。

題名は好きなのだがなぁ……題名負けしているような気がする。

たぶん広谷鏡子は「不随」という言葉に、肉体的な部分とと精神的な部分の両方の意味を託したと思うのだが、精神的な意味での「不随」まで掘り下げるには至っていないような。

何年もしないうちに読んだことさえ忘れてしまいそうな、イマイチな1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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