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春狂い 宮木あや子 幻冬舎

この作家さんって、つくづく女性が好きなんだなぁ……と感心してしまった。周囲にいる人を狂わせてしまうほどの美貌を持った少女の物語。耽美小説の類だと思う。読む人を選ぶタイプのお話で万人向けとは言い難い。

前回読んだ『雨の塔』は百合小説ともレズビアン小説ともつかぬような作品だったけれど今回は一応、男女の…ということになっている。でも、私には「男女の」というタイプの作品には思えなかった。冒頭部で「A」と言う人物が出てきて、Aの視点でヒロインが語られるのだけど、その描写を読んで私は「今回も女同士か…」と思ってしまったのだ。途中で「あれっ? これって男性視点だったの?」と気付いたのだけど、なんとなんて言うのかなぁ。文章から滲み出る雰囲気が、同性愛的と言うかなんと言うか。

耽美な文章だし、女性の描写が独特で、最近にしてはめずらしく、誰にも似ていない個性の強い文章を書く人だと思うのだけど、男と女が絡む話を書いているにも関わらず、どこか嘘くさいのだ。女性が描く女性賛美の本……の粋を出ていない。いっそのこと、ガッツリと同性愛物を描いた方がいいんじゃないかと思う。今のままの路線だと、中途半端で勿体ないように思う。

この作品も決して悪くはないのだけれど、物語の本質的な部分に厚みが無い。そこがとても残念に思う。雰囲気を楽しみたい人には良いかも知れないけれど、ちょっと物足りない作品だった。

春狂い 宮木あやこ 幻冬舎

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白い木蓮の花の下で
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