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最愛の子ども 松浦理英子 文藝春秋

久しぶりの松浦理英子。ガツガツと作品を発表する作家さんではないだけに、新作で出ると「あっ! 新作出てたんだ」と嬉しくなってしまう。

今回も期待以上の面白さだった。

松浦理英子らしさが全面に出ていて相変わらずキレキレではないか。松浦理英子は御年58歳とのこと。

この年齢でこんなキレキレの作品が書けるだなんて信じられない。ベテラン作家さんがこんなキレキレの作品を発表したら、新人さんは辛かろうなぁ。良い意味で厨二病全開の作品だった。

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最愛の子ども

日夏(ひなつ)と真汐(ましお)と空穂(うつほ)。夫婦同然の仲のふたりに、こどものような空穂が加わった。私立玉藻(たまも)学園高等部2年4組の中で、仲睦まじい3人は〈わたしたちのファミリー〉だ。

甘い雰囲気で人を受け入れる日夏。
意固地でプライドの高い真汐。
内気で人見知りな空穂。

3人の輪の中で繰り広げられるドラマを、同級生たちがそっと見守る。ロマンスと、その均衡が崩れるとき。巧みな語りで女子高生3人の姿を描き出した傑作長編。

アマゾンより引用

感想

日夏(ひなつ)と真汐(ましお)と空穂(うつほ)。3人の女子高生が「ファミリー」として家族ごっこ的な設定でもって、日常生活を過ごす…と言う内容。

私立高校で一応男女共学なのだけど、男子クラスと女子クラスに分かれているので微妙に女子校臭い雰囲気。

松浦理英子ファンには今さら説明するまでもないけれど、松浦理英子はセクシャリティをテーマにした作品が多く、今回もその類。

しかしこの作品は「レズビアン小説」と言うよりも「百合小説」に近いと思う。

レズビアン小説と百合小説。明確な定義はないけれど、私の持つイメージはこんな感じ。

レズビアン小説は読者が自己投影したり、主人公の内面に深く立ち入って読むタイプの小説。百合小説は女の子達が愛し合っている姿を読者は俯瞰した状態で読むタイプの作品。

今回は百合小説に近い気がする。厨二病をこじらせたクソ生意気な女の子達が、あーだのこーだの議論したりしている様はとてもよろしい。

設定も凝っていて、登場人物達も1人1人魅力的だし、物語としても面白い。

しかし敢えて難癖を付けさせてもらうなら「女の子を3人出す必要はあったのかな?」ってこと。

もちろん、3人出さないと「父・母・子」と言う家族ごっこ的役割を当てはめる事が出来なくなってしまうのだけど、3人の女の子達の中で真汐のポジションが微妙でイマイチ掘り下げられていない気がした。

もしかしたら狂言回しとして設定されていたのかも知れないけれど、それにしても他の2人に較べるとのっけから異質感じ。

今回はネタバレを避けたいのでオチは書かないけれど作品の締め方が古典的だな…と思った。吉屋信子の少女小説的と言うか。

ラストへの流れは「家族ごっこ」の日常が面白かっただけに「その流れが来るんじゃないかとは思ってたけど、やっぱりですか」と言う印象。ああするより他に締められなかったのだろうけれど、少し残念ではある。

イッキ読みしてしまったので、落ち着いて再読してみたいと思う。

物語を知った上で読めば、また違った発見があるかも知れない。あれこれ文句を書いてしまったけれど、なんだかんだで面白かった。

松浦理英子は衰え知らずだな…と。つくづく感心させられた。

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白い木蓮の花の下で
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