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抱擁、あるいはライスには塩を 江國香織 集英社

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江國香織の作品について感想を書く時は、いつも少し緊張する。女性ファンがやたら多い作家さんで悪しざまに書くと、袋叩きに合いそうな気がして。

どうも私はこの江國香織とはめっぽう相性が悪いらしい。「だったら読むな」って話なのだけど、何年に1度かの割合で怖いもの見たさ的に読みたくなってしまうのだ。

書評(しかも大抵、絶賛されている)を読んで「今回のは私も好きになれそうな気がする…」とか思ってしまうのだ。

そして毎度撃沈する。そして今回も撃沈させられた。

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抱擁、あるいはライスには塩を

三世代が親密に暮す柳島家。美しく幸福な家族に見える彼らにはしかし、果敢に「世間」に挑んで敗北してきた歴史があった。母の菊乃には婚約者がいながら家出し、妊娠して実家へ戻った過去が。叔母の百合には嫁ぎ先で病気になり、離縁した経験がある。そして、健やかに成長する子供たちにもまた、変化がおとずれ―。

アマゾンより引用

感想

三世代、百年にわたる「風変りな家族」の物語……ってことなのだけど、ひとことで表現するなら「不倫は文化だ!」と言う話だった。

ものすごくハマってしまう人がいるのも理解出来るのだけど、私には到底無理だった。

江國香織の書く登場人物って、エキセントリックでどうしても好きになれないのだけど、よくよく考えてみればエキセントリックな登場人物を描く女性作家さんは他にもたくさんいる。

たとえば小川洋子。小川洋子の描く登場人物は好きなのに、江國香織の描く登場人物はどうして嫌いなのだろう?今回はじっくり考えてみた。

思うに小川洋子の描くエキセントリックで傍迷惑な登場人物は自分が傍迷惑なことを理解していて「ごめんなさい」っと気持ちを持ちつつ、ひっそり生きているのに対し、江國香織の描く登場人物は自分が傍迷惑だってことを分かっていてもなお傲然としていて、他者に対する思いやりが見られないから嫌いなのだと思う。

もちろん、江國香織の描く登場人物にも「優しさ」はある。

だが、その優しさは自分が好きな人にだけ向けられたものであって、その優しさは自己愛の延長線上にしか存在しない。

「あそこまで奔放に生きられたら愉快だろうなぁ」とは思うものの、好きか嫌いかと問われたら「嫌い」としか言いようがない。

……などと悪口ばかり書いてしまったけれど、この作品は読み物としてそこそこ面白かったと思う。

「セレブ」な人達の風変わりな生活を読むのは面白かった。

でも個人的にはやっぱり好きにはなれないのも事実。江國香織の作品は、また数年後、魔がさしたように読んでみたくなるかも知れないけれど、しばらくはお腹一杯で受け付けられそうにも無い。

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