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大樹の下に 内海隆一郎 徳間書店

「結婚したい」と思ってしまった。

こんな人となら所帯を持ってみたい。手鍋提げても嫁ぎたい……なんて思うほど主人公が格好よかったのだ。

昭和黎明期が舞台の小説で、主人公は心正しくて腕っぷしの良い男だ。職業は俥夫。人力車を引くのがお仕事である。

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大樹の下に

大正三年の夏、誠吾は旅芸人の食客だった父につれられ東北の小さな町、岩井へやって来た。

父を失ってからは町の俥屋「徳茂」で人力車をひきながら、たったひとりの妹と手に手をとって生きてきた。

芝居小屋の脇に聳える相生の槇の巨木が、いつもふたりを見守るように梢を揺らしている…。

遠くに軍靴の足音が聞こえはじめた昭和初年。平穏だったこの町にも、物騒な事件の波が押し寄せて来た…。素朴な日々の暮らしに息ずく温かい心の交歓を、郷愁豊かに綴る長篇小説。

アマゾンより引用

感想

浅田次郎の人情小説のようなノリなのだが、主人公の控えめさ加減が半端でないあたりが、浅田次郎の作品とは一線を画している。

どれだけ悪者(あえて悪者というチンケな言葉で表現したい)をやっつけたても、主人公は俥夫以上でも、俥夫以下でもない。

そこがとっても素敵である。正義の味方とは、かくあらねば。

旅の一座の子供を助けたり、悪者を退治したり、足抜け遊女をかくまったりと、とにかく盛りだくさん。主人公の硬派っぷが爽やかで良い。妹との関係も素敵。

ちょっと残念だったのは、前半~中盤の興奮を思うと、終盤はイマイチ盛り上がりに欠けたということだろう。

主人公が様々な経験の中で導き出した1つの「結果」と合わせてみれば地味に仕上げるのが妥当なのかも知れないが、ノリノリで読みすすめた読者としてはもう少し華やかさが欲しかったのだ。

もう少し「主人公の秘密」についてのエピソードを派手に描いて欲しかったような……

リアリティを追求したり人間の幸せを、庶民レベルで追求すると、ラストが地味になってしまうのは仕方のないことなのだろうなぁ。

シリーズを重ねるごとにその個性を失い、普通の人になっていった『赤毛のアン』を思い出してしまった。理屈では分かっていても、イマイチ物足りないと言うか。

内海隆一郎の描く世界って、なんか好きだなぁ。

ちょっと古めかしいのだけれど「良い日本人の標本」って気がするのだ。良い読み物ありマス……そんな1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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