ヤクザは嫌いだがヤクザ物語は好きだ。
私はいわゆる「Vシネマ」ってのを観たことがないけれど「Vシネマ」ファンの気持ちは分かるような気がする。
私も「極妻」とかは好きだし。
戦争は嫌いだが戦争をベースにもってきた物語が好きなのと、ちょっと似ているかも知れない。ヤクザも戦争も、物語を楽しませるにかけては素敵な大道具なのだもの。
「命のやりとり」が出てくるとドキドキしてしまうのだ。現実世界では、ゴメンだけど。
義兄弟エレジー
家族も大切、会社も大切。乗っ取りの陰謀に立ち向かう男達の奇妙な友情。愉快であぶない、アウトローの物語。
「なあ、考えてくれよ、おれとあんたは義理にもせよ兄弟じゃねえか」「仕方ないから考えるだけは考えておこう。ただし、言っておくが、無理やり押しつけられるのはごめんだよ」
乗っ取りの陰謀に立ち向かう男達の奇妙な友情。
アマゾンより引用
感想
期待し過ぎたのかも知れないが「普通に面白い」という程度のものだった。エグイことを書いているわりには、それほど気持ち悪くなかったのは流石だと思ったけれど。
私がイマイチ夢中になれなかったのは作品に出てくる「義兄弟」が本当の義兄弟だというとこに尽きる。杯を交わす方の義兄弟の方が好きなのだ。
堅いところだと三国志の『桃園の誓い』みたいな感じとか。
「死ぬときは一緒」だったり「あいつだけは死なせない」だったりと、とかくそういうノリが好きなので、ちょっと物足りない感があった。
私はヤクザ物語が好きだと書いたが、それほどそのテのものに触れている訳ではないので吃驚したことも多かった。
「スマキにする」だの「コンクリート詰め」だの、言葉は知っているが、実際のものとしてイメージすることがなかったのだ「ヤクザって、本当にこんなことするんだぁぁ」などと、物語の内容と関係ないところで感心してみたり。
拷問とかされたら、おしっこちびってしまうな……私だったら。
それほど嫌な感じのヤクザ物語だったという点においては流石だと思ったけれど、もっと楽しませて欲しかったように思う。
路線が違うので比較することはできないのだが、ヤクザが出てくる作品だと浅田次郎の『プリズンホテル』とか『きんぴか』の方がずっと好きだ。もっとも、あちらは漫画ちっくな物語だけど。
この作品は、それほどツボではなかったけれど、たぶんこの内海隆一郎は好きな気がするので、しばらくグイグイいきたいと思う。
内海隆一郎の描く「カッコイイ大人の男」に惚れてしまった。