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午後の足音が僕にしたこと 薄井ゆうじ 光文社文庫

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最近は、すっかりどっぷり「薄井ゆうじマニア」になりつつあるのだけれど、この作品はイマイチいただけなかった。

作品自体が良いとか悪いとかいう以前に、どこが面白いのか、あるいはどこを味わえば良いのかさえ理解できなかったのだ。

例えるなら「食べ物らしき物」を発見したはいいが、食べ方がまったく分からなくて、とりあえず齧りついてみたはいいが、味もしないし調理しないと食べられそうなくて途方に暮れてしまった……という感じなのだ。

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午後の足音が僕にしたこと

今日も遠くから足音が聞こえてくる。ハイヒールの音だ。いつからか「僕」は定刻に現れるその音に捉えられていた。

人知れずざわめき揺れる心を、つかの間のロマンスを、ピュアな感覚で描いた連作短編22話。

アマゾンより引用

感想

一応、恋愛短編集ってことになるのだろうか。

ものすごく淡白な男の人と、ものすごく淡白な女の人の淡々とした愛の形が描かれているような気がした。だが、それが愛なんだか恋なんだか、動物的な本能なのか、その辺のところが曖昧でよく分からなかったのだ。

淡白な恋愛物は、どちらかと言うと好きなのだけど、いくらなんでも淡白過ぎるというか。

いささか妙ちきりんな「薄井ワールド」に浸るためには、もう少しインターバルを空けた方が良かったのかも知れない。

それなりに長さのある作品なら、ちょっとくらい変な味わいでも、読んでいるうちに引き込まれてしまうのだが、こう短いと引き込まれる前に物語が終わってしまって「なんじゃこりゃ?」ということになってしまう。

薄井作品初挑戦だった『ドードー鳥の飼育』も短編だったが、今回の作品集よりは1つ1つが長かったのと、起承転結がハッキリしていたので、掴みどころがあったのだが、今回は掴みどころがないまま終わってしまった。

全体的にはイマイチだったが1冊通して読んではじめて分かる「仕掛け」は拍手物だった。あの仕掛けがなければ「つまらない作品」として一蹴していたかも知れない。

1冊の本としては「なるほど」な感じだったが、作品の1つ1つには不満が残る1冊だった。

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