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星の感触 薄井ゆうじ 講談社文庫

本は理屈で読むよりもハートで読んだ方がいい……というのが持論なのだが、この作品は理屈で読んだ方が面白いように思う。(もちろんハートを置き去りにしても良いという訳ではない)

毎度同じみの薄井ワールド。最初の一行を読めば、オチの想像はつくようになってしまったが、しかし作りこまれた世界が素晴らしくて、夢中になってしまった。

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星の感触

変わりたいと望みながらも「逸脱」できずにいる良治が出会ったのは、2メートル67センチの大男・猫田研一だった。

さらに「成長」を続ける彼の身長は、ついに8メートルを越してしまう。その時、研一の恋人・伊藤タマコは、そして良治は……。

心が目覚め、あなたが変わる。「自分革命」を起こす、成長と癒しの物語。奇妙な友情物語。話題が話題を呼ぶ、鮮烈の薄井ワールド。答えは自分の中にある!

アマゾンより引用

感想

日々、成長しつづける大男の物語。物語の舞台は現代日本で、登場人物は善良で真面目な人達ばかりというところは薄井節が炸裂という感じだった。

最終的に成長しつづける男の身長は8メートルを越える。ありえない展開なのだが、話の進め具合が上手いので、グイグイと引き込まれてしまった。

地味だが個性の強い登場人物の描き方も素晴らしかった。特に「男の成長」と共に、男の友人である主人公が精神的に成長していくところは秀逸といってもいいと思う。

少しづつ成長するのではなく「ある日突然、何段飛ばしかで階段を上る」感じがとてもリアルだった。人間の成長は、植物のそれとは形式が違うのだ。

「身体が大きい」ということにより自由に生きられない男という設定が上手く生きていた。

男の「生き辛さ」は、単純に物語の筋書きとしても読めるし、深読みすればもっと大きな意味が含まれているようにも思う。「ああでもない。こうでもない」と理詰めで色々と考え出したら、止まらなくなって読了した勢いで再読してしまったくらいだ。

印象的だったのはゴヤの描いた「巨人の絵」をからませていたところ。

ゴヤのあの絵は実物を観たことがあるけれど、確かに自分の中にある何かを駆り立てられるような不思議な作風だった。

私があの絵に対して抱いていた印象と、薄井ゆうじが登場人物に語らせたゴヤの絵の印象が、あまりに似ていて驚いた。

薄井ゆうじは比較的熱心に読んでいる作家さんだが、それにしても私のハマりっぷりは、どうしたものかと思う。

すっかり「会えるものなら会いたい作家さんベスト3」の中の1人だ。もうファンを名乗ってもいいかな……と思ったりする。

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白い木蓮の花の下で
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