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ストックホルムの鬼 薄井ゆうじ マガジンハウス

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『ストックホルムの鬼』は『新刊ニュース』に連載していた『ひとり鬼』を改題したミステリー作品。

サッパリと、わけの分からない話だった。

面白くなかったかと言えば、そうでもないような気がするのだけれど、どうにも喰えない話と言うか。

薄井ゆうじの作風は気に入っているけれど、ツボを外されるとハマれないみたいだ。

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ストックホルムの鬼

すぐ目の前に大きな黒塗りの車が止まっていて、私はその後部座席に押しこまれた。助手席に江津子がすわって、痩せた運転手に言った。「ストックホルムへ」車が走り出したとき私はやっと、自分がどこかへ連れ去られるのだと気がついた―私は監禁された。彼らを嫌悪し、そして愛した“私”の物語。長編ミステリー。

アマゾンより引用

感想

主人公はある日突然「満ちたりた生活をさせてくれる場所」へ拉致監禁される。当然ながら主人公は、自分が拉致された理由を探したり、脱出するための糸口を探したりする。

いちおう筋書きはあるのだけれど、どうにも「凝り過ぎ・作り過ぎ・やり過ぎ」の感は否めなかった。

テンポは良かったので、いっき読みしてしまったし、それなりにドキドキもしたけれど、納得できない感が残ってしまった。

思いっきり凝った話を読まされたら「なるほど納得」のオチが欲しいと思ってしまうのが情というもので。

ちょっとガッカリだったのだが、薄井ゆうじの書くセックスの描写は、けっこう好きだと思った。

竜宮の乙姫の元結いの切りはずし』の時も思ったのだが「その程度なら、わざわざ書かなくてもいいのに」と思ってしまうほどの淡白さが新鮮というか。

深く互いを知り合うための交合というよりも、むしろ互いの孤独を深め合うための交合……といった印象なのだ。

寂しいなぁ……人間って生き物は。薄井ゆうじのの人間味があるのだか、ないのだか分からないような感覚は、面白いと思う。

凝った話は好きなのだが「お腹いっぱい」になってしまうほど凝った話って、あんがい心に残らない。

いっき読みできるくらいの面白さはあると思うのだが、残念ながら5年もしないうちに物語の筋書きは忘れてしまうだろうと思われる1冊だった。

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