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眩 朝井まかて 新潮社

朝井まかては初挑戦の作家さん。時代小説は苦手なのだけど、葛飾北斎の娘、葛飾応為の半生を描いた作品との事で読んでみた。

時代小説を読み慣れていない私でも一気読み出来る面白さだった。

実は私。この作品が話題になるまで、葛飾応為なんて全く知らなかった。

絵を見るのは好きだけど、今まで見てきたのは西洋絵画ばかりで、浮世絵なんて興味が無かったのだ。

この春、京都の細見美術館で開催された『春画展』を観に行った事がキッカケで浮世絵だの日本画だのにも目を向けるようになり「北斎の娘か…なんか面白そうだな」と手に取ってみた次第。

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北斎の娘にして「江戸のレンブラント」天才女絵師・葛飾応為の知られざる生涯。

あたしはただ、絵を描いていたいだけ。愚かな夫への軽蔑、兄弟子への叶わぬ恋、北斎の名を利用し悪事を重ねる甥――

人生にまつわる面倒も、ひとたび絵筆を握ればすべて消え去る。

北斎に「美人画では敵わない」と言わせ、西洋の陰影表現を体得し、全身全霊を絵に投じた絵師の生涯を圧倒的リアリティで描き出す、朝井まかて堂々の代表作!

アマゾンより引用

感想

まずビックリしたのが本の表紙。作品に合わせてイラストレーターさんが描いたものだと思い込んでいたのだけれど、読後に葛飾応為作だと知った。

何しろ、とても江戸時代の画家が描いたものとは思えないのだ。

どうにも西洋絵画っぽいタッチなのだ。どうやら、葛飾応為は新しい技法を積極的に取り入れた人とのこと。

この作品を読んで絵師としての葛飾応為に興味が湧いた。

さて。この作品の主人公お栄は葛飾応為をモデルにしているものの、葛飾応為そのものではない。

だけど、ものすごく魅力的な人で読み耽ってしまった。お栄は描くことが天職で描くこと意外は大嫌い…と言うか、そもそも興味が無く、当時の女性の価値観からは大きく外れている。

見た目もパッっとせず、身なりにも気を配らず、ただただ絵を描く人生。

恋をしたりもするけれど、恋する相手に対してさえも「彼の描く画よりも自分の描く絵の方が上手い」と思ってしまうあたりは流石と言うか、なんと言うか。

お栄が男に生まれていたら、もっと生きやすかっただろうなぁ…と、お栄を応援するような気持ちで読んでしまった。

才能ある芸術家が主人公の物語って好きだなぁ。

お栄の場合、ブッチギリの天才…と言う感じではなく「才能+努力の人」って気がする。しかも、お栄は描き続ける人生ではあったものの、一般的な女の幸せは手に入れていないのだ。

それでいてなお、お栄が不幸そうではないところが読んでいて気持ちが良かった。

お栄が甥に振り回されたり、父である葛飾北斎の面倒をみたりするくだりは「女ならでは」って感じがした。

「育児もしろ。介護もしろ。そして仕事もしろ」と言われている現代日本の女性と上手くかぶせていると思う。

朝井まかては狙って描いたんだろうなぁ。

このあたりの匙加減は上手いと思った。女性目線で読むと面白かったけれど、男性が読んで面白いかどうかは分からない。

毎日暑くて元気が無かったのだけど、この作品は暑さを忘れて一気読みするほど面白かった。

朝井まかての作品を読んだのははじめてだけど、是非他の作品も読んでみたいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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