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ロゴスの市 乙川優三郎 徳間書店

乙川優三郎は初挑戦の作家さん。時代小説を多く書いている人なので今まで手に取った事がなかった。

『ロゴスの市』はは時代小説ではなく現代設定の恋愛小説。翻訳家の男性と同時通訳者の女性の恋愛で、2人が大学時代から中年期まで描かれている。

今回の感想は一部ネタバレを含みますので、ネタバレが苦手な方はご遠慮ください。

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ロゴスの市

昭和55年、弘之と悠子は、大学のキャンバスで出会う。

翻訳家と同時通訳として言葉の海に漂い、二人は闘い、愛し合い、そしてすれ違う。

数十年の歳月をかけて、切なく通い会う男と女。運命は苛酷で、哀しくやさしい。

異なる言語を日本語に翻訳するせめぎ合い、そして、男と女の意表をつく、”ある愛のかたち”とは!? 二人が辿る人生の行く末は!

アマゾンより引用

感想

恋愛小説としては良く出来た部類だと思う。「大学時代から中年期まで」と言う年月が良い。

儚い一瞬の恋も良いけれど、人生を懸けて人を好きになる…って話が個人的に好きだ。

主人公達の青春時代からスタートする話だけど、大人になってからの方が詳しく描かれていて、どちらかと言うと大人の恋愛小説だ。

また恋愛小説であると同時にお仕事小説の側面もある。

特に海外文学の好きな人なら興味深く読めるのではないかと思う。私は海外文学はあまり得意じゃないのだけれど「翻訳」と言う仕事について面白く読ませて戴いた。

実のところ翻訳家がどんな風に翻訳しているかなんて事、今まで1度も考えた事がなかったので「翻訳ってこんな風に進んでいくんだ!」って事を知っただけでも収穫だったと思う。

さて。肝心の恋愛なのだけど、英語を生業としながらも翻訳家と同時通訳者と言う別の道を歩んだ2人は性格が全く違っている。

違うからこそ惹かれ合ったとも言えるし、方向性が違っていても目指す物が同じだから分かり合えたとも言える。

その関係は「学生時代からの友人で同志」と語られていて、恋人達はすれ違ったり離れたりして歳月を過ごしていく。

結局2人の道が交わる事はなかったのだけど、離れた期間があってさえ途切れる事無く関係が続いていったってところにグッっときた。

人間関係って恋人でも友人でも「ずっと続けていく」ってけっこうな労力と互いの想いが必要だと思うだけに、2人の想いの強さを感じた。

しっとりと良い感じの恋愛小説ではあるものの、女性の私からすると主人公のボンクラ加減には「おいおい…」と突っ込みたくなる部分が多かったし、ヒロインの都合の良い女っぷりには辟易した。

ヒロインは自由奔放に描かれているものの、結局のところ男に都合の良い女を具現化したようなオチになっていて「そりゃ、ないわ」と思ってしまった。

好きな人の足を引っ張る存在になりたくない…ってのは分からなくもないけれど、男に都合の良い結果でしかないのが残念でならない。

恋愛小説なのだし、これ以上野暮な事を書くのはどうかと思うので、これくらいにしておく。

色々と文句を付けたいところもあるけれど、この作品は2人が過ごした歳月を楽しむための小説なのだと思う。

藤田宜永が好きな人なら楽しめるのではないだろうか。

落ちついた恋愛小説が読みたい時にもってこいの作品だと思う。

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白い木蓮の花の下で
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