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おしゃれと無縁に生きる 村上龍 幻冬舎

村上龍と言うと、かつては村上春樹と並んで「W村上」なんて呼ばれている大御所だけど、恥ずかしながら、作品は数冊しか読んだ事がない。

このサイトには感想を書いていないけれど『トパーズ』だったか『限りなく透明に近いブルー』だったか、どの作品だったかは定かではないのだけれど、SM描写に辟易して「この人の作品は無理だ」とドロップアウトしてしまった。

文学界でSM好きと言うと、河野多恵子とか団鬼六とか、古いところだと谷崎潤一郎とかが思い浮かぶ。

私はどちらかと言うとSM描写は大好きなのだけど村上龍だけは駄目だった。SMと言ってもスカトロは苦手ジャンルみたいだ。

さて。過去の思い出はさておき。

苦手な村上龍を再び読んでみように思ったのは、このエッセイ集の題名にグッときたからだ。私自身はどちらかと言うとお洒落ではない人間なので、どんな話か読んでみたいな……と。

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おしゃれと無縁に生きる

「おしゃれ」より「普通」のほうがむずかしい。

成功しようと焦ることもない。

「死なないこと」それがすべてだ。

「『お金で幸福は買えるのか?』そんな問いに意味はない。別に幸福でなくても生きていける。だが、信頼がなければ、人生はひどく辛いものになる。そして信頼は、絶対にお金では買えない。」

アマゾンより引用

感想

久しぶりに村上龍の作品を手に取ってみて思った事は「村上龍って、スカトロ好きな変態紳士と思っていたけれど、意外と真面目でちゃんとした人だった」って事。

もしかすると、村上龍が荒ぶっていたのはデビュー当初だけであって、以降はそうでもなかったのかも知れない。

そう言えば『13歳のハローワーク』なんて若者に向けた真面目な本を出しているし、日本で活躍している社長にインタビューする『カンブリア宮殿』のインタビュアーと言う顔もあった。

このエッセイ集は私のイメージしていた村上龍ではなく『カンブリア宮殿』の村上龍が前に出ている作品だった。

作品を読んでみて「意外に真面目でちゃんとした人だったんだ」と感心させられた訳だけど、実のところちっとも面白くなかった。

「真面目でちゃんとしたオジサンの話」なんて聞いても面白くないものだな……と、別の意味で感心したほどだ。

特に私が惹かれた「おしゃれと無縁で生きる」と言うテーマについては「そりゃあ、村上龍ほどお金持ちで不自由なく暮らしていたらそうでしょうなぁ」としか思えない内容だったのだ。

エッセイ集なのでテーマは多岐に渡っていたけれど、一般庶民の感覚からすると「この人、なに寝ぼけたこと言っるての?」としか思えない話ばかりだった。

唯一、面白かったのは「今の日本は社長になりたがらない人が多いけれど、それは当たり前の流れだ」と言う話。

「最近の若者はガッツが足りない」とか、そんな話ではなくて、昭和の頃は物なんてガンガン作れば売れたし、社長は最終決定をするだけで良かった。

今の企業は社長自らアクティブに動く必要がある。『カンブリア宮殿』に登場する社長を見ていても「自分ではとても出来ない」と思うし、なりたいとも思えない……と言う内容。

このくだりばかりは「なるほど!」と納得させられた。

私はイマイチ楽しめなかったけれど、村上龍と同世代のオジサマなら楽しめるのかも知れない。

私の中にあった村上龍のイメージが一変したと言う意味では意義ある読書だったけれど、それ以上に得るものは無い作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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