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みずうみ いしいしんじ 河出書房新社

いしいしんじ、久しぶりの新作ということで楽しみにしていたのだけど、個人的には好きになれなかった。

あの超絶とも思える「いしい節」は、もう戻ってはこないんじゃないかなぁ……などと思ったりして少し哀しくなってしまった。そして今回はネタバレ風味で書くつもりなので、ネタバレが苦手な方はスルーする方向でお願いいたしたく。

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みずうみ

ザックリとこんな内容
  • 「不思議ファンタジー風」な感じ。3章構成。連作短編が3編つ…って感じ。
  • 月に一度、水が溢れ出す「みずうみ」の畔に住む少年の物語。
  • 身体が膨張し大量の水を体内から放出するタクシー運転手の物語。
  • そして、いしいしんじ夫妻の物語から成る。

感想

題名のとおり「みずうみ」がテーマになっている。

「みずうみ」と言うよりも、むしろ「水」なのだと思う。作者は「水」というモチーフが好きみたいだ。

ぶらんこ乗り』には「川のおばけ」の話が出ていたし、『ポーの話』も川が大きなテーマになっている。今回は「みずうみ」ってことだが、これといって新鮮味は無かった。

3編中の前2つは、そこそこ良かったのだけど最後の1編がいただけなかった。完全創作2編の後に、私小説めいたものが引っ付いているのだもの。

慎二と園子の物語は作者、いしいしんじ夫妻に他ならない。

作者の伴侶、園子さんが妊娠5ヶ月で流産(正確には死産)したエピソードが書かれていた。私は私小説も嫌いではないが、想像の物語の中へいきなり現実を引っつけられても困ってしまう。せっかくの世界観がブチ壊しで、ガッカリしてしまった。

そして、もう1つガッカリさせられたのは、今回の作品は作者がWEB上で発表している『いしいしんじのごはん日記』の内容とかぶっている……ということ。

日記と小説は別物だと思う。ましてや、やっつけ仕事よろしく、小説の中にWEBで使ったネタを入れるだなんて。新作として発表するからには、ちゃんとした新作を読ませていただきたい。

もちろん「WEB日記をまとめた1冊」って類の物を否定する訳ではない。混同しないで欲しい……ってことなのだ。

この作品は誰かに読ませるために書いたのではなくて、作者が自分自身の気持ちの整理をするために書きなぐった文章なんじゃないかなぁ……と思う。

この作品、どうして巷で評判が良かったのか全く理解出来ない。「いしいしんじの世界観ってスゴイ!」という先入観に惑わされているんじゃなかろうか。

悪くない……確かに悪くない。だけど、この作品に関しては創作に対する意欲の低さが感じられて、全く好感が持てなかった。

本の内容とは全く関係ないのだけれど、この作品を読んだ時、私も妊娠5ヶ月だった。何か縁のようなものを感じてしまったのは言うまでもない。

正直なところ、今回の作品を読んで私にとっての「いしいしんじ蜜月期間」は終わってしまったのだなぁ……ってことを、しみじみ感じた。

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