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四(よん)とそれ以上の国 いしいしんじ 文藝春秋

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『四(よん)とそれ以上の国』を読んだ後、とても哀しくなってしまった。

私はもう、いしいしんじに付いて行けそうにない。

好き過ぎてたまらず「一生あなたに付いてて行きます」とまで思った時期もあったのに、もう無理だ。恋人との別れを決断した時と同じような心境だ。

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四(よん)とそれ以上の国

ザックリとこんな内容
  • 四国をテーマにした短編集。
  • 過去と現在、伝説や歴史的人物等、いしいしんじ的解釈で四国を描く。

感想

いしいしんじは、いったいどの辺から変になってしまったのだろうか?

前作の『みずうみ』もかなり、ついて行くのがキツかったけれど、今度の作品はその比ではない。「訳の分からない話」なのはまだ良いとしても、なんだか薄汚いような印象さえ受けた。

いくつかの短編から成り立っていて、その中でも「性的なこと」を描いている作品があったのだけど、どうにも私には受け入れ難かった。

なんと説明したら良いのだろう……決して下品でもないし、直接的な表現は1つも使われてないにも関わらず「薄汚いなぁ」と感じてしまったのだ。

「汚い」なら、別の意味で賞賛に値するけれど「薄汚い」となると、褒めるところが見当たらないではないか。

短編集というのは、そのうちの1作くらいは自分の感性にヒットするものがあるはずなのに何ひとつヒットしなかった。

私には受け入れ難い作品ではあったけれど、読んでいて「ああ、きっとこの人はノリノリで書いているのだろうなぁ…」と言う気がした。

筆が踊っているような勢いのある文章だ。

だが、それは独りよがりな文章で、読者は置いてけ堀りになってしまっている。天才って、多少なりとも独りよがりなものだと思うけれど、残念ながらいしいしんじは天才と呼べるほどの器ではないように思う。

今後、私は余程の事が無い限り、いしいしんじの作品を読むことは無いと思う。

残念だけど、私にはもう、いしいしんじの作品を読むのは無理だ。

いままで大好きだったのになぁ……。1度好きになった作品を嫌いになることは無いので、いしいしんじの書いた好きな作品はこれからも読み続けたいと思う。

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