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ポーの話 いしいしんじ 新潮社

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私にはちょっと難しい作品だった。壮大過ぎると言うか、複雑怪奇と言うか。

毎度おなじみの「いしいしんじワールド」なのだけど、今回の作品は規模が大き過ぎたような気がする。

私が好きなのは、1つのお話をじっくり追って行くタイプの物みたい。いくつかの話が絡まって1つの話になる……って構成は面白いと思うし、物語に幅や深みは出るけれど、ちょっと集中出来ない感じがした。

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ポーの話

ザックリとこんな内容
  • 主人公のポーは眠るように流れる泥の川。太古から岸辺に住みつく「うなぎ女」たちを母として生まれた。
  • ポーはやがて稀代の盗人「メリーゴーランド」と知りあい、夜な夜な悪事を働くようになる。
  • ある夏、500年ぶりの土砂降りが町を襲い、遠い下流へとポーを押し流す…

いしいしんじの作品は、どれもこれもそうだ…と言ってしまえばそうなのだけど、この作品は他の作品に較べても「異端の人」の登場率が高かったように思う。

主人公のポーもそうだったし、ポーを育てたうなぎ女にしても、ポーが出会った人達にしても、みんながそれぞれに歪なのだ。

それを不愉快と感じるか「なんだか馴染むなぁ」と感じるかは、読む人の好みだと思うけれど、私はけっこう好きな世界だ。

なんとも長い物語で(ページ数が多い…って意味ではなく)読んでいて途中でウンザリした感はあるけれど、それなりに良かった。

正直なところ訳の分からない物語だったのだけど、ひとことで言うなら「愛」がテーマだったのだろうか。

うなぎ女の愛にはじまって、うなぎ女の愛に終わった印象を受けた。

母性愛と断定するつもりはないけれど「自分を包んでくれるような無条件な愛」ってヤツは、誰しもが求めているのだろうなぁ……と思ったり。

そう言えば作者の描く恋は、幼子が母親を求めるような、相手に対する絶対的な思慕の情がベースになっているように思う。

情熱的な恋ではなくて、もっと平べったくて率直な感んじがする。

まぁ、それなりに面白く読んだのだけど、また時間を置いて読みなおさないと、サッパリ訳が分からないなぁ……という1冊だった。いしいしんじの他の作品の感想も読んでみる