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灰の劇場 恩田陸 河出書房新社

『灰の劇場』は人気作家、恩田陸の異色作…とのこと。私は基本的にミステリ作品は好きじゃないので、恩田陸は数冊しか読んでいないのだけど「中年女性が心中するらしい」と言う噂を聞いて「読まなければ(使命感)」みたいな気持ちになったので、図書館で借りてきた。

……その結果。「読まなくても良かったな」って気持ちになった。

今回は正直良い感想を書かないので恩田陸が好きな方はご遠慮戴いた方が良いかもです。

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灰の劇場

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ザックリとこんな内容
  • 年配の女性二人が、一緒に橋の上から飛び降りて自殺したという記事にショックを受けた作家の「私」は彼女たちを主人公とした『灰の劇場』を執筆する。
  • そして『灰の劇場』が舞台化されることになった。
  • 「私」が年配だと思い込んでいた女性達は実は40代。大学時代の同級生だった2人は同居していた。
  • 同性同士で心中した彼女達はどんな生活をしていたのか……

感想

『灰の劇場』は恩田陸の代表『夜のピクニック』の路線が好きな人が読むと間違いなくガッカリすると思う。方向性が全然違う。実のところ私は『夜のピクニック』もイマイチ刺さらなかったので期待値は高くなかったのだけど、それ以上に面白くなかった。

……とは言うものの「社会的な状況を描いた作品である」と言えばそうなのかも知れない。

書き手の「私」が書こうとした事件の元になる心中した2人の女の社会的背景は分からなくもない。私は『灰の劇場』で描かれている価値観が残っている時代でギリギリ過ごしてきた世代なので「まぁ分かる」くらいの共感は出来た。その価値観をザックリ言うとこんな感じ。

  • 女には学問はいらない。
  • 社会人(一般企業に就職した女)は社員男性の嫁要因である。
  • 女は子を産んでこそ華。

……ってヤツ。実のところ古い価値観の企業だと今でもこのノリでやっているところはあると思う。

そんな中、微妙に王道をズレてしまった女2人が心中するに至る話なのだけど、私は声を大にして言いたい。「分からなくもないけど、あの時代の女ってけっこう元気だったよね? あまりにも教科書テンプレ過ぎないですか?」と。

現在の日本は少子高齢化社会を驀進している訳だけど、それは女達が「結婚して子どもを産んでも良いことないし、やっぱ無理」って思っちゃったところにあると思う。これは今の若者が悪いのではない。少し古い女達が少しずつ認識を変えていったのだ。

「私」が描こうとした2人の女像は分からくもないし、ワイドショー的ではあるけれど、私は「なんか可愛そうだな。好きなこととか、夢中になれること無かったの?」と思ってしまった。

もちろん「好きなこととか、夢中になれることを見つけて生きられる女ばかりじゃない」って事は理解している。でも、それならそれで「社会に押し流される不幸」をキッチリ描いて説得力を出していかないと物語として成立しない。

ただ、もし恩田陸に『推し、燃ゆ』を書いた宇佐見りんくらい勢いがあれば、それでも良かったのかも知れないな…とは思う。ノリと勢いで押し切るほどのパワーが無かったのが残念だった。

とりあえず「あと2年くらいは恩田陸作品は読まなくてもいいかな」と思ってしまった程度には残念な作品だと思った。

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白い木蓮の花の下で
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