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眠れる美女 秋吉理香子 小学館

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『眠れる美女』は秋吉理香子のバレエミステリ第2段とこのと。私はバレエミステリ第1段の『ジゼル』を読んでいないので、前作の人間関係等は知らずに手にとった。

『ジゼル』を読んでいなくても問題なく楽しむことが出来たけど、前作を読んでいた方がもって深く読めたのかな…とは思う。

華やかなバレエ団が舞台のミステリ小説だなんて、なんだか80年代少女漫画みたいだな…と思ったけれど、実に少女漫画みたいな作品だった。

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眠れる美女

ザックリとこんな内容
  • 東京のバレエ団を舞台にバレリーナ達が次々と謎の死を遂げるミステリ小説。
  • 東京スペリオール・バレエ団旗揚げ公演『眠れる森の美女』ではバレエ界の至宝と呼ばれるシルヴィア・ミハイロワが演出することになり、団員たちは歓喜する。
  • しかし、客演が決まった世界的プリマのユリカ・アサヒナはワガママな正確でバレエ団内に歪みが生じていく。
  • そんな中悪の精”カラボス”を名乗る人物から不気味な脅迫状が届き、小道具の糸車の針でバレリーナが毒殺される。
  • カラボスの正体は何者なのか?  そしてその意図は?

感想

秋吉理香子はミステリ小説をあまり読まない私がめずらしく追いかけている作家さん。女性が主人公で、女性の心を丁寧に描いてくれるところと、物語の面白さに惹かれているのだけど、今回の『眠れる美女』は正直、イマイチだった。

バレエ団が舞台…ってことなので、バレエにまつわるドロドロの愛憎劇か、そうでなけれバレエに命を捧げるストイックなダンサーの物語かな…と思って手に取ったのだけど、そのどちらでもなかった。

少女漫画にするならアリだと思うけど、大人が読むミステリ小説としてはちょっと物足りない。

バレエの厳しさとかバレリーナの業のようなものが全く伝わってこなかったし「みんないい人」なノリもついていけなかった。申し訳ないけどバレエをテーマにした80年代の少女漫画の方が10倍は面白い。

前回読んだ『灼熱』も「少女漫画のノリが強くてハマれなかった」みたいな感想を書いているけれど、少女漫画よりも薄っぺらい印象を持ってしまった。あんなに面白かった『ガラスの殺意』を書いた秋吉理香子の作品だとは信じられないレベル。

思うに。秋吉理香子は普通の人を主人公にした作品の方が向いている気がする。「どこにでもいるような人」を描いてこそ、秋吉理香子の本領が発揮されるのではなかろうか?

薄っぺらい少女漫画路線が続くようなら追いかける必要はないのだけれど、ひとまず次回は新作が出たら読んでみたいと思っている。

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ガラスの殺意 秋吉理香子 双葉社

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