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避暑地の猫 宮本輝 講談社文庫

毎日暑いので「避暑地」という言葉に引かれて手にとった1冊。

夏・避暑地・軽井沢という言葉は庶民を夢見がちにさせる魔力を秘めている。

現実の軽井沢が、どうであったとしても小説の世界の中にある軽井沢は紳士と深窓の令嬢と素敵なマダムが存在する。

豪奢な別荘・テニス・白樺・サイクリング・白いパラソルなんかも良い。

しかも軽井沢は「お金持ち」の巣窟なので、お金がらみの汚い物語もあるはず。

この作品は、そんな庶民が妄想する「軽井沢」をギュッと凝縮したような1冊だった。

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避暑地の猫

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ザックリとこんな内容
  • 主人公は17歳の少年。
  • 少年の両親が番人として雇われた別荘には秘密の地下室があった。
  • 主人公は別荘の主、布施金次郎と両親が交わした密約の存在を知り…

感想

『避暑地の猫』は火曜サスペンス劇場いらやしバージョン(やや文学ちっく)という印象だった。

主人公は別荘番の息子である。「別荘番」という職業がいかにも軽井沢という感じではなかろうか。

主人公の両親が働く別荘を中心に物語はすすめられていくのだがストーリー自体は、さほど目を見張るものではない気がする。

一応「人間の魂の奥に潜む背徳の云々」などという宣伝文句がついているし実際『噂の真相』にでも出てきそうなストーリーが展開されているのだが微妙に胸に響いてこなかった。

あまりにも「軽井沢」を中心とするキーワードを山盛りにしたことによって真意がぼやけてしまったのではないかと思われる。

もちろんキーワードが山盛りになっているから、真意が主張できない……ということではないと思う。

もし、宮本輝が「軽井沢」の住人(子供の頃から毎年避暑に行く)ならばそのシュチュエーションに溺れることはなかったかも知れないが、宮本輝はコテコテの関西人。

「お金持ち」として育った訳ではないあたり、どうも「軽井沢」のシュチエーションに酔ってしまっている節が感じられた。

この作品に限ったことではないのだが、宮本輝は「豪華な設定」を使うと思いっきり滑っているような気がする。

力のある作家さんだとは思うのだが、実体験の乏しさゆえ…というところだろうか。

逆に自分が育ってきた環境にもとづいたことをネタにして書いている時は長編、短編に関わらずキレ味があるような気がするのだけれど。

素晴らしい作品だった……とは言い難いものの、夏の暑い盛りに、サクサク読めて「軽井沢」という言葉に遠い目をしてみたり「あぁ。ババロア食べたい」なんて思ったりして、ある意味において楽しめたように思う。

作中でババロアが登場するのだけれど、猛烈に美味しそうだったのだ。

スナック菓子でもつまみながら『土曜ワイド劇場』を観るノリで「これは、これで良いかもね」と楽しむのなら最適な1冊ではないかと思った。

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白い木蓮の花の下で
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