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真夏の犬 宮本輝 文春文庫

市井に生きる人を描いた、ちょっと苦めの短編集。

粘着質な文章で、ややクドイような印象であるが、その「クドさ」が、作品にイイ味を与えているように思う。

宮本輝にとって、馴染みの深い土地を舞台にしているせいか街や、人の描写が、妙に生臭く迫ってくるあたりは好き嫌いが別れるかも知れない。

避暑地の猫』と対になるような作品だけど、方向性は全く逆。

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真夏の犬

ザックリとこんな内容
  • 表題作を含む9編が収録された短編集。
  • 表題作の『真夏の犬』は、中学二年生の「ぼく」が過ごした夏の物語。
  • 廃車置場の自動車が盗まれないよう見張り番をするアルバイトを引き受けた主人公は照りつける太陽の下で「犬」と対峙しながら仕事をこなし、衝撃的な体験をする。

感想

表題作の『真夏の犬』は定番的とも言える「少年の夏物語」の形式なのだが文章が際立っていることと、小道具の使い方が印象的なのとで、これぞ「日本の夏」を思わせる湿度と暑さが伝わってくる作品。

海でもなく、山でもなく……ただひたらすに暑い夏。

「暑い。暑い」と馬鹿の1つ覚えのように同じ言葉を繰り返さずにはいられないやりきれない「暑さ」が、ジワジワと伝わってくるような短編ながらも、重みのある仕上がりになっていると思う。

宮本輝の作品は、どちらかと言うと「後味が重たいめ」のものが多いけれど、この作品集は「重たいめ」を寄せ集めた形になっているので、そう、何度も引っ張り出して読みたいとは思えないのだが
たまに手に取ってようなみたくなる味わいがある。

作品とは、あまり関係のないことなのだけど、どうして「夏」という季節は少年と結びついているのだろうか……とふと思った。

夏休みの思い出。あるいは夏の出来事で活躍するのは、まずもって少年であり、少女であることは、滅多にない。

真夏の太陽は、少女よりも少年の方が映えるのだろうか?

たしかに少女の夏よりも、少年の夏の方が、イメージが膨らむような気がする。少年が、短時間で大人になるのは「夏」という季節が、うってつけなのかも知れない。

これを書くために、久しぶりに目を通してみたのだが読後感は、やはり重くて、暑さが増したような気がした。湿度が高く、暑く、重い1冊だと思う。

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白い木蓮の花の下で
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