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たそがれダンサーズ 桂望実 中央公論新社

桂望実の作品は前回読んだ『嫌な女』がイマイチだったので、少し遠ざかっていたのだけれど『たそがれダンサーズ』は「定年退職した男性が社交ダンスをはじめる話」だと知って照にとってみた。

定年退職後の生き方って、サラリーマン男性にとって大きなテーマだと思う。

我が家は生憎と私の父も夫の父も早くに亡くなっているので「定年退職後の男性の生き方」は正直よく分からないのだけど、近所の方を見ている限りでは、家庭菜園をしたりカメラを担いで写真を撮りに行ったりしている方が多い気がする。

社交ダンスがテーマの物語と言うと映画『シャル・ウィ・ダンス』を思い浮かべる方が多いと思うのだけど『たそがれダンサーズ』は『シャル・ウィ・ダンス』とは別の方向から社交ダンスを描いていて、そこが面白かった。

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たそがれダンサーズ

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中央公論新社
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ザックリとこんな内容
  • 現役から退きつつあるオジサン達が社交ダンスをはずめる物語。
  • 社交ダンスをはじめたオジサン達はそれぞれに違う背景を持っていた。社交ダンスを定年後のボランティア活動と位置づける田中。モテたい一心の商社マン川端。苦労人だが踊りは熱い工場経営者の大塚。
  • 講師の米山は彼らに対して無気力な指導を行っていたが……

感想

社交ダンスは男女がペアにっなて踊るので、どうしても色恋話に持っていきがちだと思うのだけど『たそがれダンサーズ』ではあえて色恋要素を排除していたところが面白いと思った。

団塊の世代のオジサン達が社交ダンスに見出したのは「モテ」でも「恋」でもなく「部活」だった。

田中、川端、大塚…3人にオジサン達は「優しく指導てくれる楽しい教室」と言うノリがどうしても性に合わないのだ。若い頃、部活で厳しい指導を受けてきた彼らはキチッと指導してくれるダンス講師の米山の指導の下「フォーメーション」で競技会に出場する。

社交ダンスの競技会は男女ペアで踊って点数を競うもの…とばかり思っていたけど「フォーメーション」と言う団体競技もあるらしい。「フォーメーション」と言っても男女ペアが団体で踊るのだけど『たそがれダンサーズ』では男だけでフォーメーションを組んで競技会に出場する。

「部活のノリで頑張る」と言っても、そこは60代のオジサン達。身体にガタがきているし、学生の部活と違って家族の協力が得られなかったりもする。それでもどうにかこうにかダンスに取り組むオジサン達は素敵だと思ったし、応援せずにはいられなかった。

「一生懸命ひとつのことに取り組む話」って読んでいて気持ちが良い。『たそがれダンサーズ』は頭を空っぽにして素直に楽しめる楽しい作品だと思う。

そして、映像化したら絶対に面白い! 芸達者な役者さんに演じてもらったら、見応えのある映像になりそうな予感。

ちょっと軽めの楽しい作品が読みたい時にオススメしたい1冊。桂望実の次の作品も是非読んでみたいと思った。

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白い木蓮の花の下で
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