旅行のお供にと選んだ1冊。書店の文庫本コーナーでドカンと平積みされていいて「そう言えば昨年ヒットしたんだっけか?」と読んでみた。
特攻隊員だった祖父の軌跡を孫達が追いかける形式になっていて「零戦スゲ~!」な物語。
戦争物ではあるけれど、現代と過去が行ったり来たりするので、そう重苦しくなく読むことが出来た。
なにげに映画化もされていて、映画はそこそこヒットしたっぽい。
永遠の0
- 大学生の主人公は亡くなった祖母・松乃の四十九日から暫くした頃、祖父・賢一郎から彼が自分達の実の祖父ではないことを知らされる。
- 実の祖父は終戦間際に特攻で戦死した海軍航空兵だった。それから6年後、主人公はあるキッカケから実の祖父について調べはじめる。
- 特攻隊に関わった人達の人生の物語。
感想
私は恥ずかしながら戦争物ってあまり読んでいない上に、読むとなると戦闘機よりも潜水艦に浪漫を感じる人間なので、零戦の知識がほとんど無い。
なので物語の前半は零戦がいかに素晴らしい戦闘機であったかと言う事実に感心したり、興奮したりしてしまった。戦争を賛美するつもりはないけれど、当時の技術者達は実に素晴らしい。
そして技術者達の熱い魂は、現代日本にも脈々と受け継がれている。
さて。肝心の物語だけど、こちらは「まぁ、暇潰しには悪くないけどね」くらいの印象しかない。
面白くないってほどでもないけれど「コレジャナイ」感が半端ない。
特攻隊員だった主人公の祖父が素晴らしい人だったのは分かるけれど、それにしても展開が都合良すぎる気がする。
未亡人(主人公の祖母)にまつわる2つのエピソードは、どう考えてもやり過ぎだろう。どちらか1つで良かったと思う。2つも用意したことで、いっきに嘘臭くなってしまった。
そして主人公の姉の恋愛話については、私も女性であるけれど「これは無いよ」と思ってしまった。性格悪過ぎだろう、主人公の姉。
まぁ、一概に切って捨てるのもなんだけど、主人公の姉にしても、結婚相手にしても「そりゃないわ」としか思えなかった。
主人公の祖父のエピソードは面白かったので、中途半端に現代と過去を行き来させずにガチンコ勝負で物語を進めてくれていたら一気に読めたかも知れないけれど、現代と過去を行き来することで、夢中になる事が出来なかった。
面白くない訳じゃなかったけれど、個人的には色々と残念な1冊だった。