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奴隷小説 桐野夏生 文藝春秋

『奴隷小説』は題名の通り、奴隷をテーマにした7つの短編からなる短編集。「流石は桐野夏生!」と唸ってしまった。

物凄く嫌な感じ(褒め言葉)の作品揃い。

道を歩いていたら突然上から鳩の糞が落ちてきた…くらいのレベルで「ああっ。もう!」と不愉快な気分になってしまった。

嫌な感じの作品ばかりなので爽やかな物や痛快な物を求めている時は読まない方がいい。

もっとも、題名が題名なだけに感動とか爽やかさを求めている人が手に取るとは思えないけれど。

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奴隷小説

時代や場所にかかわらず、人間社会に時折現出する、さまざまな抑圧と奴隷状態。

それは「かつて」の「遠い場所」ではなく、「いま」「ここ」で起きてもなんら不思議ではない。本作を読むことも、もしかすると囚われのひとつなのかも――。

何かに囚われた奴隷的な状況であることのみが共通する、七つの物語。桐野夏生の想像力と感応力が炸裂した、超異色短編集。

アマゾンより引用

感想

季節を限定するような作品ではないけれど出来れば夏場に読んで戴きたい。ベタッっと湿度を感じる作品が多く、ちょいホラー、ちょいファンタジーの要素がある。

奴隷がテーマなだけに多少作り物設定を入れていかないと無理が出て来るので仕方がない。

奴隷と言っても色々で、性奴隷、精神的奴隷、制度(国家)の奴隷…と多岐に渡っている。日本には奴隷制度は無いけれど、実際にある国をイメージして描かれた作品もある。

奴隷とか監禁と言うと、私はどうしても小川洋子を思い浮かべてしまう。小川洋子も奴隷だの監禁だのをテーマにして作品をいくつか書いているけれど、小川洋子と桐野夏生とでは方向性が真逆になっているのが面白い。

小川洋子は奴隷である事に陶酔していて、むしろ進んて奴隷になる人を描いているのに対して、桐野夏生は反逆する奴隷を描いている。

もっとも「反逆する奴隷」と言っても、所詮は奴隷なので反逆と言って知れたものだけど、少なくとも奴隷である事を喜んではいないのだ。

同じテーマで作品を描いても、こうも方向性が違ってくるのだな…と興味深い。

面白かったのだけど欲を言うとガッツリ長編で読みたかったな…と言う気持ちが残ってしまった。

短編なのでどうしてもお話を切り取った感は半端なく、桐野夏生が本気で長編の奴隷小説を書いたらどんな物になるかと考えるだけでワクワクする。

「面白かった」と言う気持ちと「ちょっと物足りないな」と言う気持ちとを同時に味わった1冊。どうせなら気だるい夏の午後の読書にオススメしたい。

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白い木蓮の花の下で
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