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アナログ ビートたけし 新潮社

あまり日記の話題にしたことがないけれど、私は密かに北野武の作る映画が嫌いじゃない。

北野武の映画は面白いのとそうでないのの落差が激しいので「最高です」とまでは言わないけれど、自分の感性にガッツリとハマる時がある。

特に『Dolls』と言う恋愛映画が好きで、彼の持つ恋愛観は私の好みと合致する。

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なので、そんな北野武(ビートたけし)が書いた小説ならハマるんじゃないかと思って手に取ってみた。

今回はネタバレ全開の感想なので、ネタバレの苦手な方はご遠慮ください。

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アナログ

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たけしがたどりついた“究極の愛”。狂暴なまでに純粋な、書下ろし恋愛小説。

「お互いに会いたいという気持ちがあれば、絶対に会えますよ」すべてがデジタル化する世界で悟とみゆきが交わした、たったひとつの不器用な約束。

素性も連絡先も知らないまま、なぜか強烈に惹かれあう二人の、「アナログ」な関係が始まった。いまや成立しがたい男女のあり方を描き、“誰かを大切にする”とは何かを問いかける渾身の長編。

アマゾンより引用

感想

この作品。ビートたけしや北野武のファンなら読んでみてもいいかと思うけれど、普通に小説が読みたいと思っている人にはオススメしない。

ビートたけしの名前があったから出版出来たと思うのだけと、新人作家がこれをやっても評価されないだろうし、残念ながら小説としてのレベルが低過ぎる。

掴みは悪くなかったと思う。

主人公は30代のインテリアデザイナー。リア充っぽい設定だけど母子家庭で育っていて、母親は介護施設に入所中。真面目で少し不器用な感じで人となりには好感が持てた。

そして「スマホを使わないアナログな恋愛」と言うテーマも悪くない。

私は出だしを読んで「これ、本当にビートたけしが書いたの? ゴーストライターに書かせたんじゃないの?」と思ってしまった。

しかし途中まで読み進めて「なるほど…やっぱ本人が書いてるわ。そうでなければ、上手いゴーストライターがあえて下手くそに書いたとしか思えない」と考えを改めた。

設定は良い。テーマも分かる。書きたいことも理解出来る。だけど、それらがちゃんと描けていないなければ、それはアイデア帳であって小説とは言えないのだ。

「アナログな恋愛」と言う意味では成功していると思うのだけど、ヒロインが男の理想像…と言うか単なるお人形になっていて、まったく内側に踏み込めていない。

リアリティもないし、共感出来る部分も「憧れちゃうなぁ~」みたいな感じも無かった。

これまでの人生で出会ったとのない特別な女。ブランド物に興味がなくて、ガードが堅くて、上品で教養がある極上の女…って設定なのに、デートでお酒飲んだ別れ際に自分から友達以上恋人未満の男の頬にキスをするとか!

思わず「キャバ嬢かよ!」と突っ込んでしまった。

ビートたけしは「色ごとも芸の肥やし」的な感じで愛人囲っていた時期があったようにも思うのだけど、どんなだけ安い女と付き合ってたんだろう?

「いい女」がこれっぽっちも描けておらず、この点に関しては沢山本を読んで女描写の達人達に学んだ方が良いと思う。

致命的なのが恋愛小説なのに恋愛描写が薄いってところ。

途中でどうでもいいオッサンの猥談を盛り込むくらいなら恋人達にちゃんと恋愛させてあげて欲しかった。

この辺りは作者の照れがあるんだろうな~と推察するし、男同士の友情もついでに描いておきたかったんだろうけれど、そこを盛り込んでいきたいならもっと長編で勝負してもらわないとなぁ…って感じ。

さらに言うなら肝心の物語が安っぽくていけない。

物語の佳境で恋人達が会えなくなるのは良い。そして感動の再会があるのも良い。

なぜここで交通事故とか「彼女は実は幻のバイオリニストで」みたいなティーンズ向けの少女小説みたいな設定を突っ込んでくるんだ?

大人が読む恋愛小説で、しかもこの枚数でそれを突っ込んでくるなんて「ないわぁ~」としか思えない。もっとしっかりした伏線を張って、彼女の内面を描いた上でのことならそれもアリだと思うのだけど。

この作品は恋愛映画を撮るためのアイデア帳として、映像化すればけっこうイケるんじゃないかな…とは思う。

映画の場合、言葉で描けないことも映像や音楽に乗っれる事が出来るもの。

きっとビートたけしの頭の中では小説では書かれなかった登場人物達の心情や、それまで生きてきた背景が色々出来上がっているのだろうけど、頭の中で出来上がっていたところで文章で書いてくれないとには話にならないのだ。

残念ながらアイデアだけは素晴らしい出落ち小説…としか言いようのない作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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