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マラケシュ心中 中山可穂 講談社

面白かった。面白くて、昨夜は一気読みしてしまった。

久しぶりにブッチギリの恋愛小説を読んだ……という充実感を得ることができた。

レズビアンの恋愛を扱った作品だが、同性愛云々というよりもありきたりな恋愛小説として読んでも差し支えないかと思われる。

男女における恋愛小説でいうならば「ありきたり」かも知れないが『真珠夫人』や『マディソン群の橋』や『失楽園』と並べたところで、なんら遜色のない恋愛小説ではないかと思った。

『真珠夫人』だの『マディソン群の橋』だのを引き合いに出したのは、それくらい、この作品がツッコミどころ満載の、ぶっ飛んだ設定だからである。

冷静に読めば「おい、おい。そりゃ、ないぜセニョリータ」という感じなのだが、これが不思議とハマってしまったのだ。

ある意味において「ハーレクインロマンス」と似ているかも知れない。もっとも『マラケシュ心中』の場合は「ハーレクインロマンス」よりシリアスで内的な描写が多いのだが。

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マラケシュ心中

山本周五郎賞作家がおくる渾身の恋愛小説 歌人・緒川絢彦が愛した相手は、恩師の妻・泉。愛は、極めたら死なねばならない。

ロシア、スペイン、そしてモロッコへ、女と女の濃密で命がけの愛の行方……。

アマゾンより引用

感想

中山可穂の恋愛小説をいくつか読んでいると同じパターンのものが多く、今回も読み進めていく過程で、ある程度先の予想はついたのだが、それでもグイグイ読ませるだけの魅力があった。

「良く出来た小説」とは言えないが「面白い恋愛小説」だとは思う。

「やれやれ。なんてこったい」と思いながらも、のめり込んでしまうのは主人公が恋愛にのめり込んでいく様の見事さゆえだと思う。

主人公の熱に浮かされて、読み進んでしまうのだ。そして、せっかく人間として生まれてきたのならば一生に一度は、こんな恋愛をしてみたいなぁ……とまで思ってしまうのである。

恋愛小説としては最高に面白いと思うのだが1編の小説として読むとするならば、残念な部分もいくつかあった。

中山可穂の作品では、ありがちなパターンなのだが、せっかくブッチギリで物語を進めているのにラストを安直にまとめ過ぎているのは、毎度ながら勿体無いと思ってしまう。

もちろん、あのような形に持っていきたいという心情は分からなくもないのだが。

そんな欠点があってもなお「面白い」と思うのは恋愛の熱さと、もう1つ「1人語りの流麗さ」にあると思う。

それまでの作品では、気付かなかったのだが、佐々木丸美の1人語り調にも少しばかり通じるところがあるように思う。イマジネーションを掻き立てる文章は、恋愛小説にもってこいだろう。

思いっきり楽しめて、大満足だった。

これからも、このノリの恋愛小説を読んでみたいと思う半面、もう少し突っ込んだ形の作品を読んでみたいと思ったりもした。

図書館で借りて読んだのだが、文庫化したら買いたいと思える1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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