ムーミンの作者であるトーベ・ヤンソンの自伝である。
マイ・ブームなので読んでみたが、訳が悪いのか、どうにも読みづらくてならなかった。
原語のイメージを大事にして訳したのか……どうかは分からないが、言い捨てるような文章が、ダラダラと続いて、途中で投げ出したいと思ったほどだ。
彫刻家の娘
ファンタジーの傑作『ムーミン』の作者の自伝的小説。
ほんとうに大切なものがあればほかのものすべてを無視していい。するどい洞察力で周囲の世界を見つめ、自分の価値基準や真の芸術家としての姿勢を身につけてゆく幼ない少女――。
自由・冒険・信頼・愛情、『ムーミン』世界の魂のルーツにせまる。
アマゾンより引用
感想
苦行のように読み進めたのだが、個人的には大ウケしてしまった部分もあった。
トーベ・ヤンソンの父親は、大の動物好きだったようで、動物について書かれた章にあった一文を読んだ瞬間、電車の中だというのに声を出してしまいそうになった。
『パグドッグを飼う人にはどこか問題がある』というくだり。
パグがいかに不誠実か、そしてそんなパグにも人間は誠実に接しなければならない……なんてことが書いてあって苦笑いした。
実際、パグという犬種は猫っぽくて、かなり気ままな性格なのだ。そして我が家もパグ犬を飼っていて、かなりハマっている。
パグを名指しで非難するなんて、パグの良さを知らなければ書けないよな……とて、妙な親近感を感じてしまった。
のこの作品を読んでみるだに、トーベ・ヤンソンは両親の愛をたっぷり受けて、大らかに育てられたのだと思った。
そして、その国独自の価値観が、チラホラ見え隠れしていたのも面白かった。
「1人でいることを尊重する気風」というのは、日本人には見当たらないように思う。日本には日本の良さがあるので、どちらが良いという問題ではないのだけれど、ちょっと羨ましく思ったりした。
副読本として読むにはいいが、単独で読むには物足りないし、いまいちパッとしない作品だと思う。