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やめるときもすこやかなるときも 窪美澄 小学館

窪美澄の作品を読むのはこれで5冊目。『晴天の迷いクジラ』からスタートして、なんだかんだ読んできたけれど、今回の作品を読んでふと「窪美澄は直木賞取るかもなぁ」なんて事をふと思った。

だけど「窪美澄の作品はもういいかな」とも思った。上手いと思うのと、自分の好みに合致するのとでは別の話なのだ。

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やめるときもすこやかなるときも

家具職人の壱晴は毎年十二月の数日間、声が出なくなる。過去のトラウマによるものだが、原因は隠して生きてきた。制作会社勤務の桜子は困窮する実家を経済的に支えていて、恋と縁遠い。欠けた心を抱えたふたりの出会いの行方とは。

アマゾンより引用

感想

今回は題名からなんとなく分かるけれど、恋愛物で1組のカップルの出会いから結婚を決意するところまでが描かれている

ヒロインは32歳の会社員。男性に縁がなく処女。恋人は女癖の悪い家具職人。

たぶん、この作品は一定の需要があると思う。映像化しても映えるだろうし、真面目系独身女性にウケると思う。

そしてお話作りはとても上手い。

32歳のヒロインは恋愛的には実にダメっ子で昔の私を見ているようで同属嫌悪してしまうほどだ。ひと言で言うと「いい子なんだけど女としての魅力に欠ける女性」って感じ。

2人が少しずつ寄り添っていく過程が丁寧に描かれていて、家具職人の過去のトラウマが上手いこと織り込まれていて物語としては面白いし読みやすいと思う。

ちょっと都合の良過ぎる部分もあるけれど、それを言い出したら世の中の小説の大半が成立出来なくなってしまう。読後感も悪くないし気持ちの良い作品だと思う。

だけど、なんだろうなぁ…どうにも私は素直に読むことが出来なかった。

テーマとか人物を狙い過ぎているのが透けて見えると言うか。

「本読むのが好きな層はこういう人物好きでしょ?」的な。「こういう展開をお望みなんでしょ?」みたいな。

松任谷由実はヒット曲を作るために、膨大なデータやアンケートを解析して、そこから曲を作っていく……と言う話を聞いた事があるけれど、それに近いような気がした。

凄く上手いのだけど、作者の情熱を感じる事が出来なかった…と言うか。「売れる本を書く」「売れそうなネタで書く」のが悪いとは思っていないのだけど、あまりそれが前へ出過ぎると鼻白んでしまう。

良いとか悪いとかでなくて私には合わない作風なのだと思う。個人的にはガッカリさせられた作品だった。

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