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千年の恋人たち 稲葉真弓 河出書房新社

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こってりと「女!」を堪能したいなら、稲葉真弓が良いと思う。

この人の描く女はみっしりと身が詰まっている感じがする。リアリティに溢れている……ってほどでもないのだけれど体臭を感じさせてくれるのだ。そこが良い。

そして、そこが少しクドイ。

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千年の恋人たち

突然の夫の失踪。残された石の塔。

十数年にわたる魂の彷徨を経て、妻が辿り着いた永遠の真実とは。

解き放たれた女の生き方を生命力とエロスの中に描く感動作。川端康成文学賞受賞第一作!

アマゾンより引用

感想

今回は建築家の夫に突然失踪されてしまった妻が主人公。

途中、視点が変わるので、主人公が1人であると限定するのはどうかと言う気がするけれど、失踪された妻が主人公と書いても差し支えは無いと思う。

主人公の話、娘の話、夫自身の話、そして妄想(?)の世界。

小さな話をいくつか絡めて1つの物語にする形式。短編連作ってほどでもないし、かといってガッツリと長編でもないあたりは好き嫌いが分かれるところだと思う。

面白いと言えば面白いのだけど、中途半端な印象も。

「色々あったけれど、やっぱり人は生きていく」ってところがテーマなのだろうか。

稲葉真弓の言いたかった事は分からなくもなかったけれど、夫の残した「塔」の話や、娘のエピソードを描き込んでしまったことによって、物語が散漫になってしまったように思う。

いっそ、一本調子でも良いからガッツリと主人公の女を描いた方が良かったのではないかと思うほどに。

面白くない訳ではなかったのだけど「痒いところに手が届かない」もどかしさを感じた。

ただ、やっぱり女の描き方は素晴らしいと思った。

主人公以外にも、主人公の娘や韓国人留学生の娘も肉感を持った人間として登場する。それぞれ、一筋縄ではいかない感じと言うか、不器用に一本義なところに好感が持てた。

彼女達が現実にいても、私はきっと好きになっていると思う。「いい人」とか「いい人間」かと問われると、それはまた別の話なのだけど。

部分部分で面白いところはあったのだけど、作品としてみると中途半端感があるように思う。

次はもう少し真っすぐな感じの作品を読ませて欲しいと思う。

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