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姫椿 浅田次郎 文藝春秋

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今さらだけど浅田次郎。私はあなたのことが好き。

「アザトイ人」だとか「人を泣かすことばかり考えて計算づくで書いてる」って評判もあるけど、そんなことはどうだっていい。

あなたの言葉が偽物だったとしても、その刹那、我を忘れて酔いしれることができるのなら、それだけで充分だって思ってる。

だけど浅田次郎。今回のはダメだったよ。いくらなんでも、やり過ぎだよ。

そこまでやっちゃ醒めてしまうよ。こんなことで次郎を嫌いになったりしないけど、でもガッカリしたのよ次郎。次郎なら大丈夫……そう信じてたのに。過剰に期待し過ぎたんだね。ごめんね浅田次郎。

なんて、くだらない前置きはおいといて。この1冊はいただけなかった。

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姫椿

やはり今晩にしよう──男の悲壮な決意は──自殺。

手広く不動産屋を営んできたが、あっけなく去ったバブルは彼に多額の負債を残した。策は尽き、家族を守るための最後にして最善の手段を胸にひめつつ、ふと思い立って訪れた町で一軒の古い銭湯を見つける……。

ありふれているようで多様な個性に富んだ市井の人々の表情。輪郭をうしなった魂が、この著者ならではのあふれる愛情をふきこまれ、しだいにくっきりとした力をとり戻していく表題作など、八つの短篇を収録。

アマゾンより引用

感想

短編集なのだが、どの作品も短い中に仕掛けを沢山詰め込み過ぎて、どれもこれもがボヤけてしまった印象を受けた。

1つ1つのお話は悪くなかったと思うのだが作品としては今ひとつだと思う。

浅田次郎は短編よりも長編の方が上手いように思う。代表作の『鉄道員』は短編だったけれど、私が好きな作品はどれもこれも長編だものなぁ。

収録された作品の中からベストを選ぶとするなら『シエ(xie)』が1番のお気に入り。

人の涙を食べて生きる架空の動物と、1暮らしのヒロインの物語で「自分のことを不幸だと思っていない人が、じつは1番不幸なんだ」というくだりは、けっこうジンときてしまった。

小説に出てきた「1番不幸な人」みたいなタイプの人は、あんがい多いんじゃないかなぁ。ホント馬鹿だよねぇ…そういうタイプの人って。

自分に言い聞かせなきゃ幸せを実感できないってところが、すでに不幸だってことに気付かないんだもの。

だけど私は、そういう人って嫌いになれないんだなぁ。なんと言うか……素敵にいじらして、愛さずにはいられないのだ。

そりゃそうと。私は作者の作品では『きんぴか』が、いっとう好きだったりするのだが、話題の『壬生義士伝』はどんなもんだろうかなぁ?

シェエラザード』も未読なので、またちょっと読んでみようかと思ったりした。

今回のはハズレだったが、こんなこと挫けちゃいけないんである。うむうむ。

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