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温泉妖精 黒名ひろみ 集英社

なんとなく疲れ気味の時に図書館に行って「しんどい作品は読みたくないし温泉とかいいかも」と思って手に取った、

第39回すばる文学賞受賞作。

自分の容姿にコンプレックスを持つ介護施設で働く27歳の女性が主人公。

「介護施設で働く27歳の女性」と聞くと地味で控えめな女を連想するけれど、少女時代はタレント養成所に通っていて、タレントを挫折した後は自分の顔に自信を持つことが出来ず美容整形を繰り返している。

「なるほど、これは心に傷を負った女性が温泉で癒される話ですね」と思って読み進めてみたが、なんだか予想外の方向に話が飛んでいて驚かされた。

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温泉妖精

美しい母親と姉のもとで育ち、容姿コンプレックスを抱えて美容整形を繰り返す27歳の絵里。

大きな二重の目、高い鼻、脱色した髪と青いカラーコンタクトで、外国人のふりをして田舎の温泉宿に泊まるのが趣味の彼女は、ある日、向かった旅館で、「影」と呼ばれる嫌味ったらしい中年男性客と出会い―。第39回すばる文学賞受賞作。

アマゾンより引用

感想

主人公の女性の不安定な精神は彼女の育った環境にあった。

「育った環境のために歪んでしまった自分」と言う設定は姫野カオルコが得意とするところだけれど、それとちょっと似通っている。

姫野カオルコの両親とは方向性が違うものの、主人公の女性もまた「親に恵まれない子ども」だ。

物語のあらすじを書いてしまいたいのは山々だけど、この作品は「突拍子の無いストーリー」にあると思うので、説明するのは控えたいと思う。

「美容整形」「インターネット」「2ちゃんねる」「ブログ」など、現在のWEB社会を突っ込んできていて「若い人が書いた作品なのだなぁ」と思った。

ここまで読んで「妖精」の正体を察した人がいたら、ネット中毒ではないかと思う。少なくもとかなりお好きですね…と。

それなりに面白かったのだけど、書きたいことを突っ込み過ぎて散漫になってしまった印象がある。

作者ま黒名ひろみは主人公を書きたかったのか、それとも影ことゲルググを書きたかったのか。それとも現代社会の歪みを書きたかったのか。

新人賞狙いの作品らしい…言えばそれまでだけど「今風の話題を盛り込んでなければ、ここまで面白かったかな?」と言う疑問が残るのも事実だ。

良く言えば「世相を反映している」だし、悪く言えば「流行りの要素を盛り込んどきゃ良いってもんじゃない」ってところだ。

……とは言うものの1冊目なので実力のほどは分からない。

もし次の作品が読めるのであれば、もう少し地に足ついた…と言うか、落ち着いた作品が読みたいと思う。

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