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毒母ですが、なにか 山口恵以子 新潮社

私にとって作者山口恵以子は最近の言葉を使うなら、ここ数年の「推し」なのだけど残念ながら今回の作品は面白くなかった。

好きであるがゆえに期待値が高くなったから…と言うわけではない。「いったい何があったんですか?」と思うほどにイマイチだった。

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毒母ですが、なにか

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ザックリとこんな内容
  • 16歳で両親を亡くした主人公は、努力を重ねて次々と目標を実現してきた。東大合格、名家御曹司との結婚、そして出産。
  • 何もかも手に入れた…と思われた主人公の次の目標は子どもの教育だった。

まず題名がしっくりこない。ヒロインは確かに毒母といえる母親なのだけど「毒母」と言うパワーワードを持ってくるにしては毒母が描けていないのだ。

虚栄心の強いひと昔前のお受験ママの域から出ていない。物語は主人公の独身時代から老年期まで描かれているのだけど、たくさんの話をパッチワークのように継ぎ接ぎしているような作りになっている。

「女の一代記」として見るならアリだとは思うけれど「毒母」と言うテーマを追えているかと言うとそうでもないし、毒母云々以前に「あ~。こう言う浅はかで嫌な女っているよね~」程度にしか人物描写がなされていない。

山口恵以子の持ち味はコメディっぽい楽しい話を書くか、いい女を目一杯いい女として描くか…だと思うのだけど、この作品は作者の持ち味がどちらも生かせていないと思う。

物語のテンポは悪くないしブラックコメディと言えなくもないけれど、テーマがテーマなだけに痛快感は全くないし、いい女なんて1人も出てこない。

ラストは一応、上手いことまとめた風にはなっているけけど、取って付けた感が半端ない。

そして1番イケナイのは「毒母」と言う最近の言葉を持ってきているにも関わらず、昭和のお受験を描いているため時代感がズレていて古臭さが鼻につくところだろう。

どうせならイマドキのお受験で書くべきだったと思う。

もちろんイマドキのお受験も昭和のお受験も共通点はあるだろうけど「おばあさんの昔語り」を聞かされているようで読んでいてちっともワクワクしないのだ。

早春賦』や『トコとミコ』で上流階級の生活を描いたのが好評だったせいか、この作品にも上流階級の生活を取り込んではいるものの、まったく生かされていないのも残念に思う。

特に主人公が結婚するまでのターンは上流階級の生活がガッツリ描かれているのだけれど、それ以降は唐突に現代の価値観で物語をが動いていくために物語の前半と後半ではまったく印象の違った作品になっていて、一貫性がみられない。

主人公は東大出身の才女と言う設定なのに、そのことがまったく生かされておらず虚栄心の強い女性と言う面しか見えてこなかったの残念だ。

時代をズラして主人公の出産以降のエピソードだけを切り取って映像化すればそれなりに面白くなりそうな作品ではあるな…とは思ったけれど、小説としては完成度が低いと思う。

すっごく丁寧な仕事をする作家さんだと思っていたのに、まさかこんな継ぎ接ぎパッチワークのような作品を読むことになるとは思ってもいなかった。

とりあえず次の作品に期待したいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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