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リアルシンデレラ 姫野カオルコ 光文社

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私が20代だった頃……はじめて作者の作品を手に取ってから、なんだかんだ言いながらも追いかけてきて10数年。

姫野カオルコとは長い付き合いになる。

ここ数作は「もう、私はこの人についていくのは無理かも知れないなぁ」と思っていたのだけれど、久しぶりの長編小説と言うことで、やっぱり手に取ってしまった。そして……やっぱり無理だった。私には、もう無理。

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リアルシンデレラ

ザックリとこんな話
  • 主人公は長野県の旅館の娘。容姿がパッとしなくて、生真面目で、地味な性格。妹はまったくその反対。
  • ドキュメンタリー風の作品。
  • 「リッチで幸せとは何か」が大きなテーマになっている。

感想

古くからの姫野カオルコのファンなら、何ページか読めば「作者が得意とするヒロインだね」と理解出来ると思う。

作者は自分を投影した(と思われる)主人公を何人も描いている。もちろん「主人公=作者」と思っている訳ではないけれど、性格や考え方等は作者を写していると思う。

なんだかんだ言って、そんな主人公が活躍する話なのだけど……正直、痛い。

「浮世離れしてる女性って素敵でしょ?」「人に理解されない不器用な人間も悪くないでしょ?」って主張が非常に押しつけがましいのだ。

姫野カオルコがデビューした頃、不思議系の不器用な主人公は非常に新鮮だった。

不思議系の不器用な主人公は文学を愛する地味でパッとしない独身女性達(当時の私を含む)に支持されたのだろうけれど、最近ではそのテの主人公も増えてきて新鮮味は無くなっている。

第一自画自賛が鼻についきては戴けない。

作者が描こうとする世界は理解できなくはないのだけれど、読者を置き去りにして自己満足の世界には走ってしまうのは、どうかと思う。

もちろん、作家が読者を無視して描きたいことを、ブッチギリで描いても、よく出来た作品はあると思う。しかし、それはそこで自らを賛美しちゃうようではなぁ。

長年、追いかけてきた作家さんだけど、なんだか憑き物が落ちたような気分だ。

もう、この作品を最期に姫野カオルコは卒業しようと思う。かつて熱中した作品を嫌いになったりはしないけれど、今後新作には手を付けないと心に決めた1冊だった。

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