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食堂のおばちゃん 山口恵以子 角川春樹事務所

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山口恵以子の作品を読むのは3冊目。今まで読んだ中ではこの作品が1番面白かった!

作者の山口恵以子は新聞販売店の食堂のおばちゃんとして働いていた経験があるので『食堂のおばちゃん』は山口恵以子の経験してきた事が余すところなく生かされているのだと思う。

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食堂のおばちゃん

ザックリとこんな内容
  • 舞台は夫を亡くした嫁と姑が営む食堂。
  • 元々は本格的な洋食屋さんだったのだけど、先代(姑の夫)が亡くなったのを機に大衆食堂に切り替えた。
  • 連作短編形式。
  • 漫画『深夜食堂』のノリと少し似ている。

感想

一般的に嫁と姑は仲が悪いと言われているけれど、ここの嫁と姑は仲が良い。

「そんな訳ないでしょ」と言いたい派がいるのも分かるけれど「実の親よりも姑との方が気が合う」という話は意外とよく聞く。実際、私も自分の親より義母との方が気が合うし。

作品中でも語られているいけれど、結局人間関係っ相性が大きく関わってくるので、この設定はアリだと思う。

嫁と姑が切り盛りする「はじめ食堂」が舞台の連作短編集。

料理があって、人がいて、その料理にまつわるエピソードがあって…と言う形で1つ1つのお話が作られている。

この作品はとにかく登場する料理が美味しそうなのが素晴らしい。

食堂で提供される料理だけど、どれもこれも家庭料理。オリジナルレシピが多いものの、料理好きな主婦のいる家庭なら「あ。うちでも、これと似たの作ってるわ」と言う料理がいくつも登場すると思う。

実際、私が読んでいても「あ。それ、うちも作るよ!」と言うレシピがいくつかあった。料理人が作る料理も素敵だけど「その辺のおばちゃん」の作るご飯って、本当に美味しそうだから困る。

作者は食堂で働きながら小説家を目指した人。私が作者を知ったのもNHKの『サラメシ』と言う番組で、彼女の作るお昼ご飯が紹介されていたからだ。

恐らく、今は小説家1本で活躍されていると思うのだけど、この作品を読んでいると「作者は料理を作ったり、誰かにご飯を食べさせるのが好きなんだなぁ」って事がビンビンと伝わってくる。

さて。肝心の物語だけど、どれもこれも良く出来ている。

読んでいて気持ちが良くなるハッピーエンドが多い。しかし感動云々…と言われると、良い話止まりである事は否定出来ない。

食べる事が好きな人は面白いだろうけど「グルメとか興味ないし、食事なんてお腹が膨れればいいし」ってタイプの人にはツマラナイかも知れない。

私は食べることも作ることも好きなので気持ち良く読ませてしまった。

はじめ食堂のような食堂があったら私も食べに行きたい。

ドラマティック路線の話も好きだけど、流石は実体験を活かした話だな…と感心させられる読んでいて楽しい作品だった。山口恵以子の他の作品の感想も読んでみる

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