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博士の愛した数式 小川洋子 新潮社

巷で大絶賛されているようだけど、なるほど評判通りの面白さだった。

交通事故の後遺症で80分しか記憶が続かない数学博士の老人と、シングルマザーの家政婦と、その息子の奇妙だが優しくも美しい日々が描かれていた。

言葉の使い方が抜群に美しくて、数学を天敵だと思っている私でさえ「数学って素敵かも」とうっかり思ってしまったくらいだ。

小川洋子の持っている長所が、余すところなく詰め込まれた傑作だと思う。私にとって、今年読んだ本のベスト5入りは間違いない。

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博士の愛した数式

[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──

記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。

やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。

アマゾンより引用

感想

毎度お馴染みの小川洋子ワールドだった。

「淡いファンタジー」なので、博士の持病である高次脳機能障害は、いささか都合よく使われすぎた感は否めないし、登場人物がみな良い人過ぎるほどよい人だった。

ご都合主義的ではあるけれど、この作品くらい美しい世界を築かれたらば、些細なことを突っ込むのは野暮というものだろう。

読者を別世界に連れ込む吸引力は、ものすごい。

ただ、ちょっとだけ物足りなかったのは作者の持つ「毒」が少しも入っていなかったことだと思う。

今まで小川洋子の作品には必ずどこかに毒を潜ませていたのに、今回の作品にはそれが無い。良いも悪いも万人向けだと思う。万人向けが悪いと言っているのではなくて、個人的に少し毒を含んだ作品が好きなもので。

毒は色気に通じるように思う。毒々しい作品はゴメンだが、ほんの一滴でいいから毒を含ませて欲しかったなぁ……と思うのは、求め過ぎなのだろう。

疲れた人が読むにはもってこいの作品だと思う。俗な言葉を使うなら「癒し系」の作品なのだ。

博士の愛、主人公の愛、ルート君の愛……そして世界の愛を感じながら、なごんでみるのもまた一興。

この作品を読んで不愉快になったり、大嫌いになる人は少ないんじゃないかと思う。読む人を選ばない大らかさがあるので、本好きな友人へのプレゼントにはもってこいかも知れないと思った。

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白い木蓮の花の下で
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