作者の作品はこれで4冊目。今回は小説ではなく医学エッセイ。「最近、暑くて長文を読む集中力が無い」と言う方に是非オススメしたい。
真面目な新書だけど小説家(医師でもあるけど)が書いただけあって、物凄く読みやすくて面白い。
久坂部羊は水木しげる、手塚治虫が大好きらしく彼らに絡めた話が沢山出てくるし、映画『ハンニバル』についてあれこれ書かれていた。
モーツアルトやベートーヴェンと言った作曲家のエピソードなどもあるので、本だの映画だのが好きな人には是非オススメしたい。
カラダはすごい! モーツァルトとレクター博士の医学講座
ようこそ、ミステリアスな医療の世界へ――
本講座では、モ-ツァルト、レクター博士、手塚治虫、ドストエフスキー、芥川龍之介、ゴッホ、デビットボウイなど、文学や映画、芸術を切り口に人体の不思議を紐解いてゆきます。
レクター博士に脳ミソを喰われても痛くないってホント? モーツァルトの耳はヘン? 「医療商人」にダマされない方法とは?
面白くて眠れなくなるカラダのトリビアが満載です!
アマゾンより引用
感想
身体のことって自分自身に直結する問題なので、誰もが多少なりとも興味のあるジャンルだと思う。
がん検診、レーシック手術、薄毛に効く薬等、特に中高年の興味がある事が沢山取り上げられている。この作品の根本には「正しい知識を知ることで怪しい情報に惑わされない欲しい」と言うところがベースになっているので、読んでいてとても気持ちが良い。
今のところ私の中では『廃用身』が久坂部羊作品のナンバーワンなのだけど、『廃用身』は内容がちょっとエグいので、正直言って「作者はどんな人物なんだろう」と言うとこに興味があった。
『カラダはすごい! モーツァルトとレクター博士の医学講座』を読んでみた印象だけど、久坂部羊は心熱き医師であり、心の中にはちょっとアレな嗜好もあるのかな…と言う印象を受けた。
「ちょっとアレな嗜好」について気になる方は是非、作品を読んで戴きたい。
私は現在45歳。今までは気にならなかった「健康問題」が気になってくるお年頃なのだけど、この作品を読んで「あんまりキリキリしたって仕方がないな」と言う気持ちになってしまった。
久坂部羊の言うところが全てではないと思うのだけど、健康に振り回されて生きるのは滑稽だな…と。もっとも、滑稽にしか生きられないのが人間だとも言えるのだけど。
最近、暑さ負けしていて本を読むのがしんどいな…と感じていたのだけど、この作品は軽々と読む事が出来た。
健康が気になる中高年の皆様に是非読んで戴きたい1冊である。