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タペストリーホワイト 大崎善生 文藝春秋

不意打ちを喰らってしまった。「やられたなぁ」って感じ。

物語の筋書き自体は、ありきたりで唐突なのに、グッっときてしまった。ひとことで作品を説明するなら「魂の再生物語」って感じだろうか。

時代は学生運動が盛んだった頃。大事な人を2人も失った女性が、人として駄目なところまで追い込まれ、そして立ち直っていく話。

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タペストリーホワイト

「明日もあなたは私を愛してくれているのでしょうか?」学生運動華やかなりし70年代初頭。愛する姉を内ゲバで失った洋子は、札幌から上京し、姉の恋文の相手を探すが…。愛する者たちを喪い、打ちのめされながら、それでも前へ進んでいく主人公。キャロル・キングの名曲が全編を彩る、喪失と再生の物語。

アマゾンより引用

感想

「魂の再生」とか「癒し・救い」ってテーマは、昨今の流行でめずらしくもなんともない。特に瀬尾まい子あたりの女性作家さんは好きなテーマじゃないかと思う。

毎度、期待して手に取るのだけど、「チッ」と舌打ちをすることが多いのだけど、どうしてこの作品にはグッっときて、他の作品は駄目だったのか……答えは簡単。

主人公の追い込まれっぷりが見事だったからだ。

私が舌打ちをしてしまうタイプの作品の主人公は「心が傷ついている」という設定ではあるものの「その程度で何甘えるんだよ。ふざけるな!」と反発したくなる程度のダメージでしかないのだ。

そして、けっこうアッサリと救いの手が伸びてくる。

一方この作品の主人公は、読んでいて気の毒になるほど……むしろ「なんとか助けてあげたいんだけど!」などとお節介心が疼くほどの追い込まれっぷりだった。

私は「家庭を持って幸せになりましたとさ」とか「子供を産んで幸せになりましたとさ」という展開があまり好きではない。現実的ではあるけれど、あえて小説でそのオチは使って欲しくないのだ。

だが、今回は私が大嫌いなパターンであったのに「良かったねぇ」と、心から祝福してしまった。

主人公の追い込まれ方が凄かったというのもあったとは思うが、主人公の凛とした姿勢に惹かれたからだと思う。

そして珍しく今回は主人公の女性に、ゾッコン惚れ込んでしまった。

大崎善生は短編もそこそこ上手いけれど、ある程度長さのある作品の方が面白いように思う。

この作品は今まで読んだ大崎善生の作品の中ではベストだった。図書館で借りたのだけど、文庫本が出たら買っちゃうかも……という満足の1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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