完全に表紙借り。表紙になっている土屋仁応の彫刻が好きなもので、ついフラフラと。
この人の作品は本当に素敵。ちなみに表紙になっている作品は『青い人魚』と言うタイトルがついている。すばる文学賞受賞作。すばる文学賞らしい作品。
今回はネタバレ込みの感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。ネタバレしないと大切な部分の感想が書けないので申し訳ない。
そういう生き物
千景とまゆ子。高校の同級生である二人は十年ぶりに再会し、思いがけず一緒に暮らすことになる。
薬剤師の千景は、定年退職した大学の「先生」の元を訪れては、ともに線虫の観察をする日々。
スナック勤めのまゆ子は、突然訪ねてきた「先生」の孫と、カタツムリの飼育を巡り、交流を深めてゆく。
そんな中、高校時代の友人の結婚式が近づき、二人はかつての自分たちの「深い関係」と「秘密」とに改めて向き合うことになる。
アマゾンより引用
感想
高校時代の同級生が偶然再開して、女同士で同居生活をはじめる…と言う物語。
女同士の同居生活。妙に気怠い感じの文章で、なんとなく松浦理英子っぽいなぁ…なんて事を思いながら読んでいた。2
人もどこかボタンが掛け間違っているような、世の中を斜に構えて見ているような…そんな感じ。もっと言うなら若々しなくて老成している。
「すばる文学賞って、アンニュイな若者の物語好きだよねぇ」なんて事を思いつつ読み進めていたのだけれど、途中で私が「松浦理英子っぽい」と感じた理由が明確になった。
同居生活をしている女性2人は「友達」ではなくて「元恋人同士」だったのだ。しかもレズビアンではなく、男性側が性同一障害で女性として生活している…と言う設定。途中まで全く気づかなかったので、流石にそこだけは「どひゃぁぁ」って感じだった。
テーマがセクシャリティとかそう言うところなのだから、松浦理英子っぽいのも納得がいく。きっと作者も多少の影響を受けているだろう。
残念ながら途中で「どひゃぁぁ」となった以外に面白さは感じなかった。
残念だけど「松浦理英子に似てるな」って感じさせるくらい個性が確率されていないのだ。物語は地味に淡々と進んでいく。
途中、登場人物が増えてきたりして、多少の掘り下げはあるのだけれど上滑りな感じがしてガツンと来なかった。
作者の言いたいことは分からなくもないのだけど、いかんせん読んでいて「面白い」と感じさせてくれないのが致命的。
私はイマイチ楽しめなかったけれど需要はありそうだな…とは思う。